チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年8月4日
2人の勇敢な政治犯の近況が最近亡命側に伝えられる
リタンの勇者ロンゲ・アタ
1人は、昨日も村人が愛国再教育に抵抗したというニュースをお伝えしたカム、リタンのロンゲ・アタ。彼は2007年8月1日、人民解放軍の建軍80周年記念日にリタンで行われた競馬大会において、突然マイクを握り、大勢のチベット人や政府役人を前にダライ・ラマ法王帰還、パンチェン・ラマとテンジン・デレック・リンポチェの解放等を訴える感動的なスピーチを行った。(この時のスピーチのビデオ>http://vimeo.com/45892485
詳細過去ブログ>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/2010-08.html?p=2#20100804等。)彼は直ぐに逮捕され、8年の刑を受けた。
彼が捕われて5年経った。最近、彼の近況が、近親者である亡命政府議会議員アトゥク・ツェテンにより伝えられた。ロンゲ・アタは現在カム、ミニャック刑務所に収監されている。彼によれば、「尋問時に受けた暴力により耳と目が不自由になっている。また、足に強い痛みを感じるという。独房に入れられているが、監視人は彼に特別辛く当たるという」。
僧ジグメは過去何度も拘束されている。2008年に拘束され、拷問を受けた経緯を詳しく語る貴重なビデオを作ったが、これがyoutube等にも流れた。もちろん、このビデオを作ったことで再び拘束され拷問を受けている。
(そのビデオと日本語訳は以下へ>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51198938.html)
その後一旦解放されていた僧ジグメは去年8月19日、ツォエで拘束された。(詳しくはhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51695067.html)。
それから一年が経った。彼が正式に起訴されたことを知った家族は北京在住の2人の弁護士を雇った。しかし、彼らがツォロの裁判所に行ってみると、裁判所側は「既に地元の弁護士を2人付けてある。外部の弁護士は許可できない。既に判決は下りている」と言い、彼らを追い返したという。家族の下には判決の内容についての通知は未だ届いていない。また、最近彼が何らかの病気になり、現在病院に収容されていることも分かった。
参照:2日付けRFA英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/ailing-08022012163026.html
3日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/otherprograms/newsanalysis/health-condition-of-jigme-gyatso-monk-from-ladrang-08032012095642.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)