チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年8月3日
リタン:愛国再教育に従わない村人が暴力を受け2人入院、90人拘束
3日、内地からTibet Expressに伝えられた情報によれば、今月1日と2日、カム、カンゼ州リタン(理塘)県ダムナ郷ジワ村(ཁམས་ལི་ཐང་རྫོང་འགྲམ་སྣ་ཤང་། རྫི་པ་གྲོང་སྡེ་)で当局は愛国再教育を実施した。しかし、村人たちはダライ・ラマ法王批判等に同意しなかった。これを見て当局は警官隊と軍隊を差し向け多くの村人が暴力を受け、拘束された。
この村では2008年以降、何度もこのような愛国再教育が実施されているという。今回も政府の役人と警官が大勢村に現れ、村を囲むようにして人々を駆り集めた。そして、ダライ・ラマ法王を非難することを強要しようとした。しかし、村人たちは団結しこれを拒否。すると、警官たちは村人たちに襲いかかり、殴る蹴るの暴力を振るった。また、チベット服を着ている者に対しては、「何でチベット服なんか着てるんだ!」と服を破り捨てられたという。
結局90人ほどがダムナ郷の警察署に連行された。その中の2人は重傷を負っており、リタンの病院に運ばれた。現在、村は厳重な監視下におかれ、新たに軍隊のトラック7台が到着したという。
参照:3日付けTibet Expresshttp://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/8859-2012-08-03-06-36-42
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)