チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年8月1日
コンゾで単独デモ/僧侶逮捕 等
以下、昨日アップし終わっていたはずのエントリーだが、原稿を作ったあと停電となり今までアップできなかった。
まず最初に悲しいお知らせ。前回重体とお知らせした、6月20日にザトゥで焼身し西寧の病院に収容されていたンガワン・ノルペルが、昨日30日の午後3時半頃、父親に見守られ息を引き取った。彼は何か父親に話かけようとしたが、その度に警官が質問を浴びせた。それが続き、彼は何も話さなくなっていたという。内地焼身死亡確認者35人目。
今日(7月31日)は昨日と今日、亡命側に伝えられた各地の抵抗運動や逮捕のニュース等をまとめて報告する。
チャムド、コンゾで単独デモ
RFA、Tibet Net他によれば、チベット自治区チャムド地区コンゾ県コンゾの大通りで7月22日、ンガワンという1人のチベット人がチベット国旗を掲げ、ルンタを撒きながら、「ダライ・ラマ法王に長寿を!中国はチベット人弾圧を止めよ!」等のスローガンを叫んだ。彼はまたチベット人の団結も訴え「チベット人同士で牧草地の争いをするより、勇気があるなら、デモに合流せよ!」と叫んだ。間もなく警官が駆けつけ、連行された。その後の行方は分からないという。
RFAhttp://www.rfa.org/tibetan/chediklaytsen/khamlaytsen/kham-stringer/tibetan-youth-protested-in-kham-gonjo-tib-07302012095033.html
Tibet Nethttp://tibet.net/2012/07/30/tibetan-youth-protests-chinese-officials-visit-to-gonjo/
法王の法話を配布したとして僧侶逮捕
Tibet Timesによれば、5月27日、アムド、ゴロ(果洛)州ラギャ僧院僧侶ペルギェがダライ・ラマ法王の法話を配布したとして拘束された。2ヶ月ほどたった7月29日、家族の下に警察から電話が掛かり、彼が正式に逮捕されたことが伝えられた。彼は数ヶ月前、成都でダライ・ラマ法王の法話のコピーを作り、各地に配布した。拘束された時、部屋から法王の法話が入ったCDが押収されたという。
Tibet Timeshttp://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6370
サンチュの高僧が一年前に拘束され行方不明
RFA、Tibet Express等によれば、甘粛省甘南チベット族自治州サンチュ(夏河)県ゲンギャ郷ゲンゲー・ダクカル僧院僧侶ゲンドゥン・ギャンツォが去年7月中に拘束されたが、一年経った今も行方不明のままだという。彼は勉強のためにインドにも行ったこともあり、僧院のラマとして他の僧侶や地域のチベット人から篤い信頼と尊敬を集める存在だったという。彼は過去3度当局に拘束され、何度か酷い拷問を受けていた。今回の拘束の理由が何であるかは分かっておらず、今回の長い拘束の間、彼が再び拷問を受けているのではないかと、彼の安否を弟子や地域の人々は非常に心配しているという。
RFAhttp://www.rfa.org/tibetan/chediklaytsen/amdolaytsen/amdo-stringer/tibetan-monk-gedhun-gyatso-disappeared-after-the-arrest-07302012132502.html
Tibet Expresshttp://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/8826-2012-07-31-04-27-34
カンゼ地区で法王とセンゲ首相の写真が流行
RFAによれば、最近カンゼ州でダライ・ラマ法王の写真を掲げることが流行っているという。僧院等で法要が行われる時やチベット人の集会がある時に法王の写真を掲げることが恒例となりつつある。法王の写真を掲げないラマは人気が無くなるとも。僧院だけではなく一般家庭やレストラン、ホテル等でも法王の写真を見かけることが多くなったという。また、学生や若者を中心に亡命政府首相ロプサン・センゲの写真をパソコンに入れる事も流行っているという。この動きを知り、当局はセンゲ首相の写真についてもその取り締まりを強化しているそうだ。
RFA http://www.rfa.org/english/news/tibet/protester-07302012142106.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)