チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年7月18日
チベットの僧侶作家2人拘束・行方不明
RFAに現地から伝えられた情報によれば、7月14日、四川省カンゼチベット族自治州ペユルにあるペユル僧院(དཔལ་ཡུལ་དགོན་པ་)から僧タシ・ドゥンドゥップと僧ケルサン・ギャンツォが理由も明かされず、突然保安部の役人により連行された。
2人はチベットの状況を知らせる会を運営しており、また2人とも著書を発表していることから、当局によるチベット人知識人弾圧の一環ではないかと思われている。
僧タシ・ドゥンドゥップ(བཀྲ་ཤིས་དོན་འགྲུབ་ ニックネーム>メウམེ་འོད་)はチャムド地区リボチェ県サムカ郷ユルショ村(ཆབ་མདོ་རི་བོ་ཆེ་ཟམ་ཁ་ཞང་ཡུལ་ཤོག་)出身。僧院の教師であり、また「雪山の状況(གངས་རིའི་གནས་བབ་)」という会の会長。2年前に「痛ましき希望(Painful Hope)」と題された本を出版している。
僧ケルサン・ギャンツォ(སྐལ་བཟང་རྒྱ་མཚོ་ ニックネーム>ゴムクルསྒོམ་སྐུལ་)はナンチェンの出身。同じく僧院の教師であり、「雪山の状況」という会の主要な会員である。2年前に「我が悲しき世界(My Pitiful World)」と題された本を出版している。
報告者は「これまでの拘束者は一様に酷い拷問を受けているので、特に彼らの家族や生徒たちは2人の状況を非常に心配している」と伝える。
さらに、報告者は「最近チャムド地区の各僧院には100人ほどの軍人が見張りのために張り付いている。山奥の瞑想場にさえ10人ずつの軍人が派遣されている。このような、息の詰まる、自由を奪われた僧院の状況の下、多くの僧侶が僧院を離れ自宅に帰っている」という。
参照:16日付RFA英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/detained-07162012140754.html
16日付RFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/china-arrested-two-tibetan-monk-from-kham-karze-07162012143725.html
16日付Tibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6312
16日付Tibet Expressチベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/8696-2012-07-16-12-08-32
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)