チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年7月17日
<速報>今日、新たにバルカム県で僧侶焼身・死亡 49人目
僧ロプサン・ロジン(ロンジン)
ダラムサラ・キルティ僧院のプレスリリースによれば、今日17日現地時間正午頃、ンガバ州バルカム県(རྔ་པ་བོད་རིགས་རང་སྐྱོང་ཁུལ་འབར་ཁམས་རྫོང་马尔康)ギャロン・ツォドゥン郷にあるギャロン・ツォドゥン・キルティ僧院(རྒྱལ་རོང་ཚོ་བདུན་ཀིརྟི་དགོན་པའི་)僧侶ロプサン・ロジン(བློ་བཟང་བློ་འཛིན་18)が中国政府に対する抗議の印に焼身し、その場で死亡した。
彼は当僧院の集会堂の前で自らの身体に火を放ち、地区庁舎の方に向かって歩いた。しかし、しばらくして炎が大きくなり、倒れ、死亡した。焼身と同時に多くのスローガンを叫んだというが、その内容は不明という。遺体は直ぐに僧院内に運ばれ、現在追悼の法要が行われている。今夜、葬儀を行う予定で準備が進められているという。
焼身の後、バルカムから大勢の武装警官隊等がツォドゥン・キルティ僧院に向かって出発した。これを知ってツォドゥンのチベット人たちはツォドゥンの橋でこれを阻止しようと集結している。部隊とこのチベット人たちが衝突する危険が迫っていると伝える(現在の状況は不明)。
ロプサン・ロジンはバルカム県ギャロン・ツォドゥン郷ショラチャン村カルゴ家の出身。父ジョルゲ、母ツェポポの息子。幼少よりギャロン・ツォドゥン・キルティ僧院に在籍している。学業優秀で模範的僧侶だったという。家族は5人。
ギャロン・ツォドゥン・キルティ僧院はバルカムの北85キロにある。僧院の正式名はギャロン・ツォドゥン・キルティ・ゴン・ゲデン・タシ・チュリン(རྒྱལ་རོང་ཚོ་བདུན་ཀིརྟི་དགོན་དགེ་ལྡན་བཀྲ་ཤིས་ཆོས་གླིང་)という。現在約300人の僧侶が在籍し、ギャロン地区で最大の僧院である。
今年3月30日にもこの僧院の僧侶であるチメ・ペルデンとテンパ・タルギェがバルカム市内で焼身し、2人とも死亡している。
燃え上がり、倒れたロプサン・ロジンを前に手を合わせる人たち。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)