チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2012年7月16日

これまでに焼身したチベット人48人(内地45人、外地3人)のリスト:<上>

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ウーセルさんは7月13日付けのブログで、これまでの焼身抗議者48人について、全員のリストと共にこれを時期、場所、人物に分けて簡単なまとめの報告を行われている。また、最後にこれまで残された遺書もまとめて紹介されている。>http://woeser.middle-way.net/2012/07/48453.html

私も常々、簡単でもいいからこれまでの焼身者をまとめて報告したいと思っていたので、今回、ウーセルさんの報告を下地に日本語で「まとめ」を作る事にした。なお、ウーセルさんの地域ごとの分類には間違いが幾つかあると思われ、訂正した箇所もいくつかある。

最初の3枚の図はツァンパ・レボルーション(Tsampa Revolution・NYベースのチベット支援グループ)が作成した、2012年7月7日までの焼身抗議を初めとするチベット人の中国当局に対する主な抵抗活動の場所と回数を地図上に示したもの。1)焼身抗議、2)デモ、3)部隊発砲、4)爆発、に分けられている。焼身抗議は2009年2月以降。その他は2011年3月以降を対象としたものである。チベット語版、英語版、中国語版の順。

Map_TsampaRevolution_20120710_BO

Map_TsampaRevolution_20120710_EN

Map_TsampaRevolution_20120710_CN

2009年2月27日~2012年7月7日の間にチベット内地で45人*、外地(インド、ネパール)で3人、合わせて48人のチベット人が焼身抗議を行っている。内、女性は8人(尼僧4人、子を持つ母親3人、中学生1人)。この内の35人の死亡が確認されている。この内の12人は何らかの遺書を残している。そのほとんどはすでに当ブログで訳して発表しているが、貴重な証言、証拠であるのでその内の主なものを最後に再掲する。

*注:2009年以前にインドで2件の焼身抗議が行われている。これを合わせれば50人となる。
また、チベット亡命政府は2009年以降の内地焼身者の数を43人(7月16日時点)とするが、これはラガンの2人を未確認として保留しているからである。ウーセルさんと私はこの2人も焼死と確認し、加えている。

1:時期

2009年 1人:2009年2月27日に四川省ンガバ チベット族チャン族自治州 ンガバ県(以下ンガバ県)で1人。

2011年 14人(チベット内12人 外地2人):ンガバ県で8人。四川省カンゼ(甘孜)チベット族自治州タウ(達日)県(以下タウ県)で2人、カンゼ県で1人、計3人。チベット自治区チャムド(昌都)県(以下チャムド県)で1人。インド、ニューデリーで1人。ネパール、カトマンドゥで1人。

2012年7月7日まで 33人(チベット内32人 外地1人)
1月>ンガバ県で3人、青海省 ゴロチベット族自治州 ダルラ県(以下ダルラ県)で1人。
2月> ンガバ県で3人、青海省 ジェクンド(玉樹)チベット族自治州 ティドゥ県(以下ティドゥ県)で1人、青海省 海西モンゴル族チベット族自治州 テムチェン(天峻)県(以下テムチェン県)で1人、四川省 ンガバ チベット族チャン族自治州 ザムタン(壌塘)県(以下ザムタン県)で1人。
3月>甘粛省カンロ(甘南)チベット族自治州マチュ(瑪曲)県で1人、ンガバ県で5人、青海省黄南チベット族自治州レプコン(同仁)県で2人、四川省 ンガバ チベット族チャン族自治州 バルカム(馬爾康)県で2人、インド、ニューデリーで1人。
4月>四川省カンゼチベット族自治州カンディン(康定)県で2人、ザムタン県で2人。
5月>チベット自治区ラサ、ジョカン前で2人、ザムタン県で1人。
6月>青海省黄南チベット族自治州チェンツァ(尖扎)県で1人、ティドゥ県で2人、ジェクンド県で1人。
7月>チベット自治区ラサ市ダムシュン(当雄)県で1人。

2:地点

チベットの伝統的地域別けに従えば
ウツァンで3人、アムドで31人、カムで11人(ウーセルさんはバルカムの2人をギャロン、ダムシュンの1人をチャンタンと別枠にされている。ここではバルカムをアムド、チャンタンをウツァンの中に入れた)。外地;インドで2人、ネパールで1人。

現在の中国の行政区分に従えば
四川省チベット人居住区31人(ンガバ州ンガバ県20人、ザムタン県4人、バルカム県2人;カンゼ州カンゼ県1人、タウ県2人、カンディン県2人)。
青海省チベット人居住区8人(ゴロ州ダルラ県1人:ジェクンド州ティドゥ県2人、ジェクンド県1人:海西州テムチェン県1人;黄南州レプゴン県2人、チェンツァ県1人)
甘粛省チベット人居住区1人(カンロ(甘南)州マチュ県1人)
チベット自治区4人(チャムド地区チャムド県1人;ラサ市2人、ラサ市ダムシュン県1人)

3:人物

男性40人、女性8人。

最年長者64歳、最年少者17歳。

高僧(リンポチェ)2人、普通僧侶17人、尼僧4人。宗派別ではほぼ全てゲルク派の僧俗と思われる(俗人については資料がなく断定できないが)。例外として、2人の僧・尼がニンマ派、カギュ派の元僧侶1人、ザムタンで焼身の4人の俗人はチョナン派と思われる。

農民・遊牧民16人(ウーセルさんの数字に従う)、俗人の中には元僧侶も多い。1人は2人の子供を持つ父親、1人は3人の子供を持つ父親、1人は4人の子供を持つ母親、1人は3人の子供を持つ母親、1人は2人の子供を持つ母親。

1人中学校学生、2人学生。

(今年3月までの焼身者について、月別、年齢別、生死等状況をグラフにして示した資料がある。>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51738676.html

(中に続く)

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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