チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年7月13日
僧侶がチェックポストで保安員にリンチを受け殺害される
RFAに内地のチベット人が伝えたところによれば、最近、チベット自治区チャムド地区リボチェ(རི་བོ་ཆེ་)県出身の1人の僧侶が自治区境界のチェックポストで保安員にリンチを受け死亡した。
僧侶の名はペマ・ノルブ(པད་མ་ནོར་བུ་)。四川省カンゼ州デゲ(デルゲ)にあるゾンサル・シェタ僧院で勉強中であった。最近彼は故郷のリボチェに帰省しようとデゲを発ったが、直接西のチャムド方面に向かう事ができず、遠回りして北のジェクンドを経由してリボチェに向かうルートを取った。ナンチェンの先、自治区との境界にあるドガンタン(རྡོ་གང་ཐང་)のチェックポストで彼は持ち物検査を受けさせられた。
そして、彼の荷物の中から様々なCDや本が見つかった。(おそらく、その中に禁止されている法王や政治的と見なされるCDや本が含まれていたのであろう)これを見てチェックポストの保安人たちは彼に激しい暴行を加えた。その結果、彼は死にそうになった。これを見て保安員たちは彼をチャムドの病院に運んだ。しかし、間もなく彼はその病院で死亡したという。
僧ペマ・ノルブはチャムド地区リボチェのタキルマと呼ばれるお堂の近くの出身で父ギェルタン、母デラの息子。トゥルク・ソゲルのホプ僧院に所属していた。
情報を伝えたチベット人は、「このような事件は度々起っている。ただ当局の監視が厳しく、外に情報が伝わらないだけだ。今回、自分は危険だと知りながら、あえてこの事件について報告するのだ」と言う。
参照:11日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/monk-killed-in-tibet-chamdo-07112012154237.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)