チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年7月12日
焼身を唆したとして僧侶3人に9~11年の刑
今年2月27日にアムド、テムチェン・ゾン(海西モンゴル族チベット族自治州天峻県)ボンタク僧院(བོང་སྟག་དགོན་པ་)僧侶ダムチュ・サンポ(དམ་ཆོས་བཟང་པོ་38)が焼身抗議を行い死亡した。詳しくは過去ブログ>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51730483.html。この後、同僧院の多くの僧侶が拘束され、裁判にかけられた。ブログ>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51749128.html
7月3日付けRFA英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/instigating-07032012123612.htmlによれば、最近当局は新たに3人の僧侶に対し、僧ダムチュ・サンポの焼身を唆したとして長期の刑を言い渡した。
現地からの報告によれば、ボンタク僧院僧院長ジャンセム(བྱང་སེམས་)に9年、僧ケドゥップ(མཁས་གྲུབ་)に11年、僧サンゲ(སངས་རྒྱས་)に10年の刑が言い渡されたという。
その他、ダムチュという俗人が当初、同じく焼身を唆したとして拘束されていたが、その後、彼は弁護士の力もあり解放されていた。しかし、彼はそれから同じく拘束されていた8人の僧侶たちの解放を要請する署名活動を行った。その事により彼は再び逮捕されたという。
地元の人々は「署名活動を行っただけで逮捕されるなんて」と当局のやり方に怒りの声が上がっているという。
事件の後、当局は以前にも増して厳しい僧院弾圧を行った。その結果ボンタク僧院の僧侶のほとんどは僧院を離れた。
「10人の僧侶が依然テムチェン当局により拘束されている。県の警官は『彼らが還俗するなら解放してやる』と言ってる」と報告者は伝える。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)