チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2012年5月25日

カム旅行記 その1 成都~ダルツェド

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_DSC4590成都のチベット人街の飯屋に入ると次から次へと、この写真のようにダミニャン抱えたチベットのお兄さんが入ってきて目の前で歌を披露。お金をくれという訳だ。

中国語のメニューが読めない親子は最初の注文に失敗。目一杯とうがらしが入った真っ赤な大皿がテーブルにのって真っ青。ついにこのダミニャンお兄さんにすべて持ち帰ってもらう事になった。

突然、明らかに中国人と思われる料理人の服を着た男が飯屋に入って来て、歌を始めた。「・・・・・ゴンサチョ・・・・」どうもダライラマ法王を讃える歌を歌ってるらしい。歌い終わるとチベット人の前に行き手を出す。チベット人も苦笑いで金を出す。法王の名前を出されると相手がただの金目当ての中国人と分かっていても金を出さない訳にはいかないらしい。なんだかな~である。

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ブログご無沙汰しておりました。案外多くの人たちが休業中もアクセスして下さっていたようです。その方々にはお詫びと共に感謝の意を捧げます。

今月7日にダラムサラを発ち、デリーから広州経由で成都に9日に到着。チベットはカム地方を2週間ばかり旅行してました。きっかけはTCVダラムサラ出の息子が「時間ができたので一緒に旅行しよう。まだチベットに行った事がないのでチベットへ行こう。山に行きたい」と言い出したから。

_DSC5618ミニアコンガ(7556m)

2週間のエントリービザで行ける範囲は限られてるというので、簡単、かつ最近いろいろな事件が起きたカンゼへのルートを取ることに。成都からダルツェド、峠を超えてラガン、タウ、ダンゴ、カンゼと一日づつ進み、カンゼに2泊。最初はカンゼからニャロン、リタンを回ってダルツェドに帰る予定だったが、山に行きたいという息子の要望をいれるためにカンゼからダルツェドに帰りミニアコンガ山麓へ。そしてまた成都に帰り、猛暑のデリーを越え昨日ダラムサラに帰郷。息子は成都からブラジルに飛んだ。会社を辞めまた秋からアメリカで勉強するという彼は、その前に世界一周するのだそうだ。

今回のルートは簡単、手軽にチベットが味わえるルート。もちろん、その人の持ってる情報により興味の対象や楽しみ方はいろいろであろうが、とにかく旅行案内も兼ねながら、軽く、基本一日毎に写真とともにカンゼまでの町や風景を紹介する。

_DSC5951カム地方に入る起点は成都。成都へは日本やバンコク、デリーから飛べる。9日の午後3時頃成都に到着。次の日の朝ダルツェド(康定・カンディン)行きのバスに乗るのでバスの出る「新南門汽車站」(中国では汽車がバス)のすぐ裏にある「交通飯店」に泊まる。一泊ツイン160元。もっと安い部屋もあるみたいだった。すぐに明朝のバスチケットを買い、散歩にでる。

成都は人口一千万近い大都会。最初85年にここを訪れた時には高いビルは何もなく中国の街にしてはまあまあ落ち着いた良い街だと思ったものだ。今はただの大都会。交通飯店から西に30分ばかり歩くとチベット人街がある。交差点に何台かの公安の車が止まってるのがまず目に入る。

_DSC4591チベット人街と言っても町並み自体にはチベット風情はなにもない。ただ、チベット僧の姿が目立ち、仏像や仏具を売る店が多いぐらい。相当大きな仏像や仏塔も売ってた。

写真右手のベンチには公安さんがのんびりと座ってらっしゃる。今年3月にはこの辺りは相当緊張し、逮捕者も出たが、今は特に緊張は感じられなかった。

_DSC4594チベット人街に隣接して「西南民族大学」の大きなキャンパスがある。多くのチベット人がここで学んでいるはず。キャンバスは広くグランドも広かった。

_DSC4618次の朝7時、カムへの入り口の街ダルツェド行きのバスに乗る。嘗ては2日も掛かったというが、今では雅安までの高速道路と二郎山トンネルのお陰で8時間ほどで着く。もっとも道路が整備され時間が短縮されたということは中国とチベットが近くなり、軍や移民、資源の移動が簡単になったということでもある。

_DSC5903以下何枚か紹介する軍用トラックの列は、行きでなく20日にダルツェドから成都に帰る時に撮影したもの。この日、朝8時にダルツェドを出て峠のトンネルを超えるまでの3時間ほどの間に何と、30~40台が1グループになった軍用トラックの列を6グループ目撃した。すべてチベット方面に向かう隊列であった。この日は特に多かった。何か起ったのかと心配した。最初の写真は二郎山トンネル内をチベット方面に進む軍のトラック部隊。

_DSC5885トンネルを抜けダルツェド寄り、濾定辺りを行く部隊。

_DSC5879「情歌の故郷 康定(カンディン/ダルツェド)祝悠一路順風」の横断幕の下をチベットに向かう部隊。トラックの前には「川蔵兵站部 奇路鉄騎団」と書かれている。「川蔵」は「四川省蔵族地区」のこと。つまり四川省のチベット地区に物資や兵士を輸送する「数奇な(険しい)路を行く鉄の騎団」という訳だ。

_DSC5889軍用トラックの横には「促進民族団結」と大きく書かれてる。つまり「軍隊の力で脅迫的に団結させようではないか」という訳だ。

_DSC587619日の夕方、ダルツェドの街中をチベット方面に向かう兵站隊の列。

途中だが、今日はこれまで。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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