チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年4月6日
外国に情報を流したとして 15年の刑を受けた元女医が 危険な容態に
4日付けTibet Net チベット語版http://bod.asia/2012/04/ཆབ་སྲིད་བཙོན་པ་ཡེ་ཤེས་/によれば、15年の刑を受け、ラサのダプシ刑務所で服役中である政治犯イシェ・チュドゥンの容態が先月末急変し、刑務所からラサ市内の警察病院に移送された。
今年57歳になるイシェ・チュドゥンは医者であったが、引退し、2008年にはラサのラモチェ地区に住んでいた。
2008年3月、大規模デモの後、突然公安が自宅に押し入り、彼女は逮捕された。11月7日、ラサ中級人民法院によりスパイ(国家機密漏えい)罪として刑期15年、政治的権利剥奪5年を言い渡された。ここで言う「国家機密」とは「デモの様子」のことで、これを外国に伝えたというのである。
彼女は尋問期間中に拷問を受け、その後も過酷な刑務所暮らしにより衰弱していた。家族等との面会に付いても、他の受刑者に比べ非常に厳しい規制が掛けられていたという。
現在、危険な容態にあると伝えられるが、病院でも常に彼女は警官の監視下にあり、正確な容態を知る事は難しいという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)