チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年4月4日
団結と自由を歌ったチベット人人気歌手に懲役刑
3日付けRFA英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/sentenced-04032012135005.htmlによれば、ジェクンド州(青海省玉樹州)ナンチェンの裁判所は「チベット人に自由獲得のための団結を促した」として、アムドの人気歌手ウゲン・テンジン(25)に3月20日頃、2年の懲役刑を言い渡した。
彼は2月に新しいアルバムを発表した直後に当局により拘束されていた。そして、拘束中の拷問により、身体と精神に異常をきたしているという情報が伝わっていた。
現地と連絡を取ったニューヨーク在住のドゥクダ・ニマによれば、「彼はチベット愛国ソングを歌い、鉱山開発に反対し、ナンチェンで行われた大デモに関係したという罪をきせられた」という。
現在彼がどこにいるのか、容態はどうなのか、正確な罪状は何なのかについては詳しく分かっていない。
彼は2008年にも鉱山開発に反対したとして、1年の刑を受けていた。今回は2月に「我が心の永遠の血脈」というアルバムを発表した後、拘束されていた。
内1つの曲は、チベット亡命政府首相センゲ氏に捧げられていた。多くの曲がチベットの自由を求め、そのために団結を訴えるものだった。
「DVDを配布したチベット人も逮捕され、2年の刑期を受けた。当局は今、作曲者も指名手配している」とドゥクダ・ニマは言う。
2008年以来、中国当局はチベット人意識を刺激し、人権を訴えたとして、大勢のチベット人作家、芸術家、歌手、教育者を逮捕している。
もう1人の人気歌手タシ・ドゥンドゥップは15ヶ月の刑期を終え去年解放された。チベット人歌手たちはチベットの独立を支持し、ダライ・ラマ法王を讃えたとして逮捕される。
3月22日には歌手ドルジェ・ツェベがバ・ゾンのデモを先導したとして逮捕されている。http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/2012-03.html#20120323
同じく2月にナンチェンで行われた抗議デモ(ラカル)http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/2012-02.html?p=2#20120209に関わったとしてウゲンとユンテン・プンツォに3年と2年の刑、他氏名不明の3人にも刑が言い渡されたという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)