チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年4月1日
一昨日バルカムで焼身抗議を行った僧侶2人の内1人死亡
先月30日、ンガバ州州都バルカムで同時に焼身抗議を行ったツォドゥン・キルティ僧院僧侶2人の内、チメ・パルデンはその日の夜、病院で死亡した。もう1人のテンパ・ダルギェも危篤状態。
以下、3月31日付けダラムサラ・キルティ僧院プレスリリースより。
30日昼過ぎに、バルカムで焼身抗議を行った2人の僧侶は、武装警官隊によりバルカムの病院に運ばれた。午後9時頃から地域のチベット人僧俗100人以上が病院の前に集まり、2人を家族に引き渡してくれるよう、涙を交え訴えた。少なくとも容態を説明し、面会を許可するよう懇願した。これに対し、当局は要求に応じる代わりに部隊を送り込んだ。部隊は病院の正門前に集まっていたチベット人たちに襲いかかり、暴行の末大勢が負傷し、拘束者も出た。
しかし、それにも関わらず、チベット人たちはあくまで面会を懇願し続けた。その結果、夜中12時頃から2人ずつ、遠目に面会することが許された。
その際、僧チメ・パルデンの死亡が面会者により確認された。当局はすぐに僧チメ・パルデンを火葬し、次の日、31日の早朝5時には遺灰をツォドゥン・キルティ僧院に渡した。僧院側は遺灰を僧院に持ち帰り、追悼法要を始めた。
また、30日の夜、大勢の武装警官隊と特殊警察隊がツォドゥン・キルティ僧院に向かった。これを察知したギェルロン地区のチベット人たちは、夜中12時頃、部隊が僧院に入ることを阻止すべく、僧院に至る橋のたもとに集結した。
部隊と住民が衝突しそうになった時、僧院の宗教管理長などが間に入り、双方を説得した。
その結果、双方は一旦引き上げることに同意した。しかし、当局は僧院に罰を与え、幾人かの僧侶を逮捕すると公言しており、緊張した状況が続いているという。
もう1人の僧侶テンパ・タルギェは危篤状態にあり、生きる望みは少ないと思われている。
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参照:3月31日付けTibet Express http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/7885-2012-03-31-16-16-50
死亡確認された内地の焼身抗議者は僧チメ・パルデンが24人目。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)