チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年3月31日
<続報>28日にンガバで焼身抗議死亡した僧ロブサン・シェラップの遺体は
昨日バルカムで焼身した2人の僧侶も含めた「チベット抗議デモ・焼身抗議 地図」(ツァンパ・レボルーション制作)
先の28日にンガバ県チャ郷で焼身抗議を行い、その場で死亡したキルティ僧院僧侶ロブサン・シェラップ(20)の遺体は住民の懇願にも関わらず、当局に持ち去られ、29日にバルカムで火葬された。その後家族には遺灰だけが渡された。また、当局は遺体引き渡しを要求した者やその他の関係者を次々暴力的に拘束している。
情報を伝えたのはダラムサラ・キルティ僧院。そのチベット語原文は31日付けTibet Expressで読むことができる。http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/7876-2012-03-31-07-34-16
僧ロブサン・シェラップが焼身後死亡した現場には大勢のチベット人が集まり、声を上げ遺体を家族に引き渡すよう懇願した。これに対し、地区の役人は県の役人を呼び相談した結果、遺体を引き渡すことに同意した。しかし、そのすぐ後に大勢の武装警官隊と軍隊が来て、空に向かって銃弾を何発も発射し、集まっていたチベット人を暴力的に拘束した。
その際、部隊の撲打により負傷した何人かが病院に担ぎ込まれた。しかし、そのうちの何人かは当局の逮捕を恐れ、病院を逃げ出したという。
28日の夜、当局は僧ロブサン・シェラップの遺体をバルカムに運び、29日に火葬した。家族が呼ばれ遺灰の一部が渡された。
僧シェラップの死亡を受け地元のチャ僧院には1000人ほどのチベット人が2日間集まり、マニを唱え追悼法要を行った。しかし、その後当局がすべての追悼法要を禁止したことにより、最後まで法要を終わらせることができなかったという。
その他、ダラムサラ・キルティ僧院のリリースには27日にンガバ・キルティ僧院僧侶シェルチン(22)、僧ジャンジュップ(16)が拘束され、その後行方不明と報告され、さらに、去年10月に拘束された3人の僧侶も5ヶ月経った今も生死も分からず行方不明、と報告されている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)