チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年3月29日
<速報>28日夕方、ンガバで新たな焼身抗議 20歳のキルティ僧院僧侶 その場で死亡
以下、先ほどダラムサラ・キルティ僧院より送られて来たメールより。
28日、現地時間午後7時10分頃、ンガバ・キルティ僧院僧侶ロブサン・シェラップ(20)が、ンガバ県チャ郷(རྔ་པ་རྫོང་གཅའ་ཞང་རྭ་རུ་བའི་སྤེན་པ་ཚང་གི་གྲྭ་བློ་བཟང་ཤེས་རབ།四川省阿坝藏族羌族自治州贾洛乡)の国道上で中国のチベット政策に抗議する焼身を行い、その場で死亡。
彼はチャ郷ラルワ村ペンパ家、父スドゥン、母ニマの息子。兄弟姉妹3人の真ん中。
彼がどのような叫びを上げたかはまだ伝わっていない。
彼が死亡した後、チベット人たちは彼を家族の下に運ぼうとしたが、駆けつけた武装警官隊に奪われた。なおも、チベット人たちは遺体は家族に引き渡されるべきだと部隊に頼み続けたが、聞き入れられず、強引に運び去られた。
僧シェラップは9歳の時、ラルワ僧院ゲデン・テンペル・リンにて僧侶となった。
去年10月から論理学を学ぶためにキルティ僧院に入ったが、今月26日にラルワに帰っていた。
(焼身を決意し、警備が厳しいンガバ市内を避けるために田舎に帰ったと思われる)
ラルワ僧院には現在31人の僧侶が在籍。
現在チャ郷には部隊が大勢は動員され、緊張が高まっている。
キルティ僧院内には今も300人の役人や警察が常住し監視が続けられている。
ンガバ全体に依然、大量の部隊が配置され、厳戒態勢が続いている。
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28日は「チベット農奴解放記念日」であった。
内地の焼身抗議者31人目。死亡23人目。外地の焼身抗議者は(98年のトゥプテン・ンゴドゥップ氏を含めず)3人、内1人死亡。合わせれば34人、死亡24人目。
同じ日の朝、亡命側では26日にデリーで焼身したジャンペル・イシェ氏が死亡している。
追加<地図>:ンガバ県チャ郷の位置は>http://maps.google.com/maps?q=中華人民共和国四川省阿坝藏族羌族自治州%E3%80%80贾洛乡&hl=zh-CN&ie=UTF8&ll=33.068528,101.924286&spn=0.81019,0.937958&hnear=中国四川省阿坝藏族羌族自治州阿坝县贾洛乡&t=m&z=10
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)