チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年3月23日
ダンゴとセルタで抗議デモに参加したチベット人11人に3~13年の懲役刑/ダンゴで10人行方不明
ダンゴで銃殺されたユンテン。
VOT(ノルウェー・チベット放送)が22日付新華社電として伝えたところによれば、今年1月23日と24日、中国新年に合わせ抗議デモを行ったダンゴとセルタのデモ参加者の内11人に3~13年の懲役刑が言い渡された。
ダンゴ人民法院は、警察署や車両を破壊したとしてチベット人;ペルド、ドゥクゲル・ニマ、ジペ、ギェルト、ギェルロン・ツェテン、ツェリン・ダルギェ、シェラップ・ロンポの7人に10年から13年の懲役刑、政治的権利剥奪を言い渡し、罰金も課した。
セルタ人民法院は公務執行を妨害したとしてチベット人;ツェヤン、ケチュン、ツェリン、レンチュンの4人に3年から7年の懲役刑を言い渡した。
彼らが何時逮捕され、判決が何時出たのかは不明。
以上参照:23日付けTibet Expressチベット語版ダンゴのデモに参加し腹部を撃たれたチベット人。
以下、20日付けTCHTDプレスリリースより。
ダンゴでは1月23日、抗議デモを平和的に行っていたデモ参加者たちに対し当局は無差別発砲を行った。その結果ノルパ・ユンテン(48)とロヤックツァンの息子と呼ばれる男性が死亡し、氏名が判明しているだけでも36人のチベット人が負傷した。ある者は腕や足を撃たれ、中には、病院に行くことができず、未だ腹部に銃弾が入ったままの者もいると報告されている。
当局はデモの後、参加者を狩るために周辺の遊牧民地帯や山を徘徊した。
銃殺された僧イシェ・リクセル。
2月9日、部隊は遊牧民村であるトポルン、ガタン、ギェコン・ガンを廻り家々を捜索した。この時、僧イシェ・リクセル(40)とイシェ・サンドゥップ(42)を彼らの家で射殺し(以前の報告では山で射殺されたと言われていた)、母親も撃たれ、その時家に居た5人の子供たちも負傷した。母親サンラ(70)は左手を撃たれ、その手は後病院で切断された。子供たちも病院に担ぎ込まれた。
現在までに名前が判明しているだけでも10人のデモ参加者が拘束後行方不明になっている。
3月始めに地方当局は会議を開き、地域の僧院と村々で厳しい「愛国再教育キャンペーン」を行うことを決定した。ダンゴでは至る所で検問が行われ、依然緊張した状態が続いているという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)