チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年3月17日
アムド、バ(カワスンド)で大規模な抗議デモ 僧侶50人拘束
拘束された僧侶たちの解放を求め県庁舎の前に集まったチベット人たち(写真は2枚ともRFAより)
3月15日、アムド、ツォロ、バゾン(མཚོ་ལྷོ་ཁུལ་འབའ་རྫོང་又はカワスンドགད་པ་སུམ་མདོ、青海省海南チベット族自治州同徳県)にあるシンティ僧院(ཤིང་ཁྲི་དགོན་པ་)の僧侶150-200人が、早朝6時頃から県庁舎の前に集まりチベット国旗を掲げ、「チベットに自由を!」とスローガンを叫び抗議デモを始めた。これを見た一般チベット人約1000人もこのデモに参加した。
「法王のチベット帰還」や「チベット人の人権を守れ」と書かれた横断幕も掲げられた。間もなくして、県の役人と僧院の僧院長が説得に入り、デモ隊は解散した。
しかし、その日の夕方40台ほどの警察と軍の車両がシンティ僧院を囲んだ。そして60人の僧侶が拘束された。その内10人はその後解放された。
これを知ったチベット人たちは次の日庁舎の前に集まり、拘束された50人の僧侶を解放することを要求した。集まった人の数は1000人とも2000人とも伝えられる。
僧侶の解放を求めると同時に「チベットに自由を!言語平等!ダライ・ラマ法王の帰還を!」等のスローガンも叫ばれた。
夕方、5時頃役人が現れ、「善処するから家に帰れ」と説得。集まった人々は「僧侶が解放されない場合はこれからもデモを続ける」と宣言したという。
また、僧侶たちが拘束されたことを知ったバゾン民族中学校(འབའ་རྫོང་མི་རིགས་སློབ་འབྲིང་)の生徒たちも抗議デモを行った。校庭から行進を始め、「言語平等、民族自由」を訴えるスローガンを叫びながら県庁舎に向かった。しかし、途中で軍隊に阻まれ、解散させられた。現在学校は閉鎖され、生徒は家族の下に帰されたという。
西寧から沢山の軍用トラックがバゾンに向かっているという情報があり、緊張が高まっている。
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参照:16日付けRFA英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/burn-03162012143125.html
17日付けTibet Times チベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=5746
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)