チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年3月17日
<速報>再び焼身抗議 ンガバ 20歳のキルティ僧院僧侶 29人目
以下、先ほど送られて来たダラムサラ・キルティ僧院プレスリリースより。
3月16日、現地時間午後5時頃、ンガバ・キルティ僧院密教学堂僧侶ロブサン・ツルティム(བློ་བཟང་ཚུལ་ཁྲིམས།20)が上ンガバの国道で中国政府に対する抗議のスローガンを叫んだ後、焼身した。
彼は炎に包まれながらも歩き続けた。武装警官が正面から向かってくるのを見た彼は振り向いて反対方向に声を上げながら走った。しかし、その方向から来た武装警官に殴り倒されてしまった。その後、火が消され、連れ去られた。
目撃者の話によれば、車に投げ入れられ、押さえつけられている間にも彼は手を振り上げスローガンを叫び続けていたという。従ってその時点では死亡していないことは確かである。
何を叫んでいたのかは確認されていない。
彼はンガバ県チュゼマ郷ソルマ村イシェ家(རྔ་པ་རྫོང་ཆོས་རྗེ་མ་ཞང་སོ་རུ་མ་སྡེ་བའི་ཡེ་ཤེས་ཚང་)、父イシェ、母ツェドンの息子。
4人兄弟の内の最年長。8歳の時にキルティ僧院僧侶となる。顕密を修め、控えめで戒律を守る僧侶であったという。
今日は朝から何時もと違い、キルティ僧院のそれぞれの門のそばで武装警官が厳重な警官を行い、幹線上でも検問が強化されていた。
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16日は去年僧プンツォが焼身抗議を行った日であった。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)