チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年3月13日
<速報>3月10日 18歳の僧侶がンガバで焼身抗議 その場で死亡
インド時間12日午後10時半頃、ダラムサラ・キルティ僧院から送られて来たメール報告によれば、
チベット蜂起記念日の3月10日午後5時頃、ンガバでゲペ(དགེ་པེ།)と呼ばれる18歳のキルティ僧院僧侶が焼身抗議を行い、その場で死亡した。
場所は上ンガバにある軍の駐屯地の裏。この軍の駐屯地は1950年に解放軍がこの地に進駐した時からそこにあるものという。
僧ゲペはンガバ県ツゼマ郷ソルマ村(遊牧地域)出身(རྔ་པ་རྫོང་ཚོས་རྗེ་མ་ཞང་སོ་རུ་སྡེ་བ་)。父(故)チャクドル、母チャコの息子。幼少時よりキルティ僧院僧侶。
地元のチベット人たちが僧ゲペの遺体を運ぼうとしたが、軍と保安部隊が到着し遺体を奪い軍駐屯地内に運び込んだ。
次の日、チベット人たちが遺体を家族に引き渡してほしいと懇願し続けた。その結果、その日の午後10時頃、僧侶5人のみが同席することを許され、軍の監視の下で火葬された。
母親は11日と12日の両日、朝から晩まで警察に拘束され尋問を受けたという。
地元の人々は12日になり初めてこの焼身のことを知った。その後、チベット人商店や飲食店は彼への連帯を示すために店を閉めた。
ンガバの警戒体制は以前にも増し強化されたという。
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27人目、死亡20人目。
追記:関連記事12日付けRFA英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/uprising-03122012142647.html
12日付けTibet Times チベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=5716
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)