チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年3月11日
ダラムサラ:第53回 チベット蜂起記念日
ダラムサラ、昨日の「第53回、3月10日チベット蜂起記念日」の様子を写真中心に簡単に報告する。
朝9時、ダライ・ラマ法王、センゲ首相、議会議長そのた閣僚、政府職員、ゲストがツクラカン前に着席され、式典が始まる。
最初にこれまでチベットのために犠牲となった人々に黙祷が捧げられる。
最初のスピーチは亡命議会議長のペンパ・ツェリン氏。
議会声明の全文>チベット語:http://bod.asia/2012/03/གསུམ་བཅུའི་དུས་དྲན་-3/
英語>http://tibet.net/2012/03/10/statement-of-tibetan-parliament-in-exile-on-53rd-tibetan-national-uprising-day/
首相(政府)声明にくらべ、チベット内地の状況をより詳しく報告し、焼身抗議に関してはその勇敢な行為を「讃える」的言葉を使う。
法王は結局一言も話されなかった。政治への関与をできるだけ避けるという象徴的行為と思われた。
イタリアから4、5人の議員団がゲストとして出席。中の一人がチベット強烈支援のスピーチをされた。これを喜ぶ法王。
この日の一番の目玉、センゲ首相による亡命政府声明発表。
全文チベット語:http://bod.asia/2012/03/གསུམ་བཅུའི་དུས་དྲན་ཐ/
英語:http://tibet.net/2012/03/11/statement-of-kashag-on-53rd-tibetan-national-uprising-day/
日本語(東京代表部事務所翻訳):http://www.tibethouse.jp/news_release/2012/120310_LobsangSangay.html
法王が出席する式典で法王が一言も話をされないというのを見るのはこれが初めて。
前に座っていたTCVの楽隊の子供たちと目を合わせ「寒いだろう」と手を擦りながら笑いかけられる。
この写真のみTibet Expressより。
昨日デモの先頭を歩いたのはなんとラサまで歩くという3人の家族。
ツェテン・ドルジェという在イスラエルのチベット人とインドにいる彼の母親、それに彼の兄弟の子供であるスジャスクールの女子生徒。
ネパール国境や中国国境を超えられるかどうかは不明だ。
もう一人、特別のデモ参加者がいた。
去年11月4日、ニューデリーの中国大使館前で焼身抗議を行ったミクマルは目を黒い布で覆ったまま、チベット問題を訴えるため、これからインド中を行進するという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)