チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年3月1日
シガツェ地区で鉱山開発に反対した僧侶5人と地域の責任者1人に懲役刑
写真は全て、2010年6月5日同じくシガツェ地区のナムリン県で鉱山開発に反対した住民30人が逮捕された時のもの。
シェトンモン県タモ郷の位置は以下で確認できる。
http://p.tl/Wanq シガツェの北西約150km。
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2月29日付Tibet Netチベット語版:http://bod.asia/2012/02/བཞད་མཐོང་སྨོན་རྫོང་གླི/ によれば、
チベット自治区シガツェ地区シェトンモン県タモ郷リンカ僧院(གཞིས་རྩེ་ས་ཁུལ་བཞད་མཐོང་སྨོན་རྫོང་རྟ་སྨོ་ཤང་གི་གླིང་ཀ་དགོན་པ་)の僧院長はじめ5人の僧侶と地域の政府責任者に刑が言い渡された。
2010年、リンカ僧院のすぐ裏手で政府系鉱山会社による鉱山開発が始まった。2010年11月22日から、この環境破壊に反対する活動が、リンカ僧院僧侶を中心に行われ始めた。これに対し郷当局は警官を派遣しこの開発妨害活動を阻止しようとした。しかし、村人も一緒になった様々な活動に対し、数も劣った郷当局は有効な手が打てなかった。
2010年12月18日、郷当局は県とシガツェ地区当局に応援を要請し、大勢の警官、武装警官が村に到着。鉱山開発反対の活動を行った僧侶や村人は激しい暴力受け、15人が逮捕された。(参照過去ブログhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51594111.html)
今回、刑期が確定したのはリンカ僧院の僧院長サンポ(མཁན་པོ་བཟང་པོ་49)と僧ジャミヤン・ツェリン(འཇམ་དབྱངས་ཚེ་རིང་39)を始めとする5人の僧侶で、それぞれ4~5年の懲役刑が言い渡された。その他、管理責任を負わされた地域の政府責任者も2年の刑期を受けたと言う。
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鉱山開発に反対しただけで、これほどの刑を受けるのだ。鉱山開発は政策であり、ほとんどの開発会社の裏には政府や軍がいる。反対する者たちに軍が発砲するという事件がチベット各地で何度も起きている。
また、地域の役人にも管理責任を負わせるというのは、最近始まったチベット人を中心とする地方役人締め付けの影響もあると思われる。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)