チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年2月24日
ロサにも本土で抗議デモ/ゴロのトゥルクたちの願い
チベットの正月、ロサ当日にも本土では抗議デモが行われた。今回はまず、亡命側に伝えられたロサの抗議デモを報告し、その後、RFAが制作したゴロのラマへのインタビューと映像を、最後に同じくゴロのラマであるシンザ・リンポチェがNYの国連前で無期限ハンストに入ったという話を紹介する。ソパ・リンポチェの焼身抗議の影響もあるのか、ゴロの人たちやラマがこのところ頑張っているという印象だ。
<ゴロ、ペマで抗議デモ>
RFAチベット語版
http://p.tl/Khk9″ target=”_blank”>
http://p.tl/Khk9その他によれば、22日ロサ1日にカム、カンゼ(四川省カンゼチベット族自治州)セルタ県ニチュ郷で朝6時頃、まずセラ僧院のトゥルク・テンギャムが他5人を引き連れニチュ郷の政府庁舎の前で抗議デモを始めた。これに合流する形で最終的には60人程がデモに参加し、チベットの国旗を掲げ、焼身抗議者の名前を記した横断幕をもって数時間抗議活動を続けた。
デモの最中には直接当局による拘束等は行われなかったようだと伝えられるが、その後電話等が切断され情報は伝わっていないという。
————————————————————
<ゴロのトゥルクへのインタビュー>
下のビデオはRFAが制作したもの。ゴロを中心に活動するケサル王物語保存会を率いるトゥルク・ツルティム・ナムギェルに対するインタビューを中心に、2月8日(世界一斉行動日)にゴロで行われたラカル活動等の映像が紹介されている。
RFAの質問「ゴロではトゥルク・ソパが焼身抗議を行ったが、その後の状況はどうか?」
トゥルク・ツルティム「今、至る所に中国軍がいる。まだ、殺された者はいないが、彼らはその気だ」
RFA「チベット内部にいる人として、あなたはなぜ焼身する人がいると思うか?」
トゥルク「我々は仏教の僧侶であり、祈るのは当たり前だ。しかし、中国政府は祈る事も禁止する。これが焼身の原因の一つだ。中国政府はチベットの僧侶たちはチベットの軍隊だという。彼らはその事を出版物の中でも説く。だから中国人はチベットの僧侶を怖がっている。チベット人はこの言い方が好きではない。中国政府が軍隊という僧侶たちに対し、チベットの人たちは帰依し、信じ、師と仰ぎ、仏教の教えを聞き、祈るからだ」
RFA「焼身抗議により状況は改善されていると思うか?」
トゥルク「状況は良くならない。日々軍隊が増強されるばかりだ。焼身後悪くなっている。焼身を契機にチベットの状況について外国の国々が関心を持つならば、状況の改善も期待できるかも知れない」
「焼身を行った人たちは外国からの注目を得るために命を捧げたのだ。外にいる人々がこの焼身を広報しないなら彼らの犠牲は全くの無駄と言えよう。外にいるチベット人たちは中にいるチベット人たちが何をしているかを知っていることがとても大事だ。同時に、共に活動すべきだ。そうでなければ、内地の犠牲は無駄になる」
その他、トゥルクは外の人も中の人も宗派や出身地の違いを越え共闘すべきことを説く。また、首相ロプサン・センゲ氏の下に一団となり内外のチベット人や支援団体が力を合わせて闘うことを求める。
—————————————————
<NYの国連前で無期限ハンスト>
ニューヨークの国連前では3人のチベット人が、ロサ1日からチベットの現況改善のために国際機関が介入することを求め、無期限ハンストに入った。
その内の1人シンザ・リンポチェ(32)はゴロ、ラギャ僧院の僧院長であり、ゲルク派の祖師ジェ・ツォンカパの母親の生まれ変わり(トゥルク)でもある。
参照:23日付けPhayul:
http://p.tl/t5fL” target=”_blank”>
http://p.tl/t5fL
これで、確認された焼身死亡者合計は16人となった。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)