チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年2月15日
抗議活動は続く
ここ数日間に伝えられた、本土各地の抗議活動について簡単に報告する。
<チュシェン・ゾン:中国国旗を引き下ろし、チラシが撒かれる>
13日付けTibet Times:http://p.tl/Bx5qによれば、
8日夕方、ンガバ州チュシェン・ゾン、アコリ(金川県阿科里郷・写真左)で政府の各役場や病院に掲げてあった中国国旗が引き下ろされ、付近にチベットの自由と独立を求めるチラシが撒かれた。当局は軍を派遣し、道にはチェックポストを設け、住民に対し厳しい身体検査を行い、情報網は遮断された。
<ジェクンドで抗議デモ>
写真は去年4月のデモ。
13日付けRFA:http://p.tl/ose2 その他によれば、11日と12日にジェクンド(ケグド、玉樹)でチベットの自由と法王帰還を要求する抗議デモが行われた。11日には約200人、12日にはさらに多くのチベット人が街の中心であるケサル広場に集まりスローガンを叫んだ。広場は部隊により包囲され、幾人かが拘束されたという。
<カンゼで抗議デモとチラシ>
同じく13日付けRFAによれば、11日カンゼ市内の公安事務所の壁に「さらに3人が焼身抗議するであろう」と書かれたチラシが貼り出された後、1人のチベット人若者が拘束された。その他にも「チベット独立」を訴えるポスターが街の到るところに貼り出された。
これとは別に同じ日にタシ・パルデンという21歳の若者が街中で「チベット独立」と「法王帰還」を求めるスローガンを叫んだ。数分間叫んだ後、部隊が現れ、激しい暴行が加えられた後、引きずっていかれた。これを見ていた1人の商人も激しい暴行を受け、意識不明のまま連行された。集まったチベット人たちを追い払うために催涙弾が使われた。カンゼでも緊張が高まっている。
<カンゼ州内2カ所で政府庁舎に放火>
11日付けRFA: http://p.tl/g_vmによれば、先週半ば、カンゼ州デルゲ県ナンド郷とカンゼ県ザメ郷で政府庁舎が放火により炎上した。
ザメの方は全焼したが、ナンドの方は火はすぐに消し止められた。負傷者は出ておらず、今のところ逮捕者も出ていないという。
もっとも、これだけではチベット人が政治的意図で放火したとは言えないわけだが……
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)