チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年2月14日
<速報>13日ンガバ 24人目の焼身抗議者
13日焼身のロプサン・ギャンツォ(写真は共にダラムサラ・キルティ僧院より)
先ほど(インド時間午後7時45分)ダラムサラ・キルティ僧院からのメールで報告を受け取ったところによれば、今日(13日)午後2時半頃、ンガバで再び僧侶1人が焼身抗議を行った。
以下、ダラムサラ・キルティ僧院から送られて来たメールをそのまま訳す。
13日、現地時間午後2時半頃、ンガバ県チャ郷ナクツァンマ、ジィ家(རྔ་པ་རྫོང་གཅའ་ཞང་ནག་ཚང་མའི་བཛྲི་ཚང་)の息子、キルティ僧院僧侶ロプサン・ギャンツォ(བློ་བཟང་རྒྱ་མཚོ་)、19歳がンガバの中央通りの始まる地点で中国政府への抗議のスローガンを叫びながら焼身を行った。すぐに武装警官と特殊警察が現場に駆けつけ火を消すと同時に暴行を加え、連れ去った。生死は不明。
僧ロプサン・ギャンツォの父の名はジィ、母の名はペカル。家族は7人、4人兄弟の内、彼は最年長。彼は僧院のクラスの中でも勉学と素行において秀でた存在だった。クラスの代表として何度も討論を行っているという。
現場では若者2人が警官たちにより激しい暴行を受けたという。その内1人は付近にいたチベット人たちにより助けられたが、もう1人は両腕を左右からつかまれ連行された。目撃者によれば、彼の腕と頭から沢山の血が流れていた。その他僧侶1人も暴行を受けたという。
事件の後、付近から大勢の武装警官等が集まり、現場は封鎖された。行き交う人たちへの身体検査も強化され、厳戒態勢が敷かれている。
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<テンジン・チュドゥンの遺灰だけが家族に渡された>
また、ダラムサラ・キルティ僧院は別メールで11日焼身の尼僧テンジン・チュドゥンの件を報告している。
それによれば、尼僧テンジン・チュドゥンは11日の夜、バルカムで死亡したという。家族は遺体を渡してくれるよう懇願したが、当局はこれを拒否。12日に火葬にし、遺灰だけを家族に渡したという。
彼女の属していたマミー尼僧院の写真が沢山載ってる中国人の写真ブログ>http://my.dili360.com/home/space.php?uid=176915&do=album&id=9574
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イギリスのガーディアン紙の記者が最近ンガバに潜入することに成功し、ビデオを撮っている。
記事は>
http://www.guardian.co.uk/world/2012/feb/12/tibets-acts-self-immolation-china?newsfeed=true
「30~40メートルごとに部隊がいる」「まるで、中東や北アイルランドの紛争地帯のようだ」「しかし、ここの暴力とはただ自分に向けられたものなのだ。そして闘いとは領土のそれではなく、心と信仰に関するものなのだ」
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)