チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年2月12日
焼身抗議続く 11日夕方18歳の尼僧 23人目
写真は昨日焼身した尼僧テンジン・チュドゥン(ダラムサラ・キルティ僧院入手)。まだあどけなさが残り、可愛過ぎる。
11日の夜遅く、ダラムサラ・キルティ僧院に現地より入った報告によれば、昨日11日ンガバで再び1人の尼僧が中国政府に対する抗議の焼身を行った。
以下、僧ロプサン・イェシェとカニャック・ツェリンがメールで知らせて来た報告をそのまま訳す。
2月11日現地時間午後6時頃、ンガバ、マミー尼僧院(མ་མའི་བཙུན་དགོན་)の尼僧テンジン・チュドゥン(བསྟན་འཛིན་ཆོས་སྒྲོན།)18歳が中国政府に対する抗議のスローガンを叫びながら焼身した。場所は(丘の上にある)尼僧院下の橋に続く三叉路上。
彼女はンガバ県ラルワ郷ドシ・ケルギェム家(རྭ་རུ་བའི་མདོ་ཤིས་སྐལ་རྒྱམ་ཚང་)、父ロペ(བློ་པེ་)、母ツェポ(ཚེ་པོ་)の娘。
現場にはすぐに軍人と警官が集まり、彼女をバルカム方面に連れ去った。その場では死亡していないと思われると報告される。その後、尼僧院は包囲され中の状況は一切伝わっていない。
幼少時、彼女はチャ郷の小学校に3年通い、その後マミー尼僧院の尼僧となった。家族は12人おり、4人兄弟の内最年長。彼女は寡黙で戒律をよく守り、勉強に打ち込むタイプだった。尼僧院でも優秀な成績を修めていた。頭もよく勇敢でもあったという。
マミー尼僧院の正式名はデチェン・チュコルリン(བདེ་ཆེན་ཆོས་འཁོར་གླིང་)、ンガバ市内から3キロ離れた丘の上にある。地区最大の尼僧院で現在350人の尼僧が所属する。2011年10月17日には、同じ尼僧院のテンジン・ワンモが焼身抗議を行い、その場で死亡しているhttp://p.tl/MSR9。
2008年、マミー尼僧院の尼僧たちはダライ・ラマ法王の写真を掲げンガバの町に向かって抗議行進を行った。その結果多くの尼僧が逮捕され、何人かは懲役刑を受けた
マミー尼僧院
これで、本土での焼身抗議者の数は23人となった。尼僧は3人目。ンガバだけで14人が焼身している。
今年に入ってすでに10人。焼身の間隔が狭まっているような気がして恐ろしい。
参考:11日付けRFA英語版:http://p.tl/g_vm
12日付けTibet Times チベット語版:http://p.tl/U1n0
追記:今日(12日)朝ダラムサラ・キルティ僧院に入った情報によれば、テンジン・チュドゥンはバルカムの病院で死亡したという。家族はバルカムの病院に到着したが、遺体はまだ、家族に渡されていないという。VOTも報道。
追記2:これまでの焼身抗議者写真リスト(Patrick Bonnassieux作成)
これまでの焼身抗議者の簡単な経緯等を加えたリストは>「チベット式」http://tibet.cocolog-nifty.com/blog_tibet/2012/02/20092-40c0.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)