チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年2月11日
内地からの<貴重映像>2本とBBCの「チベットの危機」と題された放映分
以下、ビデオを3本紹介する。最初の2本はおそらくVOAが近日中に本土より入手した貴重ビデオだ。
最初に紹介するビデオは9日のブログhttp://p.tl/hxAJで報告した、8日に行われたティドゥ県ガトゥ郷での抗議デモの様子を写したもの。2本目は同じく9日のブログで報告した8日のナンチェンにおける「ラカル」活動の様子を写したもの。3本目はBBCが「チベット危機」と題し9日に放映したもの。
<ティドゥの抗議デモ映像>
最初のビデオの中で横断幕を掲げたシルカル僧院の僧侶たちと思われる人々が「ダライ・ラマ法王をチベットにお迎えしよう」と叫んでいる。後ろの方にはこれを見守る大勢の地元チベット人たちが写っている。
映像の最後にチベット語で「同胞たちよ、あなた方の苦しみを我々は見知っている。我々には真実がある。だからいつの日にか共産党の弾圧に打ち勝つことは間違いない。あなた方の活動を喜び支援する。チベットに勝利を」と書かれている。
<ナンチェンの『ラカル』運動映像>
次はナンチェンで8日に行われた「ラカル」運動だ。最初の方で写る道ばたに座ったチベット人たちは「ダライ・ラマ法王を讃えるお経」を唱えている。後半では僧院の前に集まったチベット人たちが「キキキキ~! キキソソ~! プギェロ~!(チベットに勝利を)」と雄叫びを上げながらツェンパを空に投げ上げる。「ダライ・ラマ法王に長寿を!」という声も聞こえる。
前のティドゥもこのナンチェンも亡命政府が提案した8日の世界同時連帯行動に照応して行われたと言われている。同じく8日にあった2件の焼身抗議も関係あると言えるかもしれない。
<BBC「チベットの危機』>
最後はBBCの9日放送分の映像。この放送が中国で流されたとき、画面はブラックアウトしたという。
記者はチベットに向かう途中9時間拘束され、「2度とチベットに入ろうとしない」という誓約書を書くよう強要されたという。書かなければ「2日以内にビザを取り消し、中国から追い出してやる」と脅された。その後、焼身抗議の映像等を紹介し、最後に取材が監視、妨害される様子を写している。
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追加写真:8日焼身のソナム・ラプヤン(37)、Tibet Netより。
<8日ティドゥで焼身の僧侶の身元判明>
なお、昨日報告したジェクンド州ティドゥ県ティドゥにおける焼身抗議者の身元が判明した。亡命議会の報告http://p.tl/eRe5によれば焼身が起こったのは8日午後1~2時頃であり、名前はラプ僧院僧侶ソナム・ラプヤン(བསོད་ནམས་རབ་ཡངས་37)という。西宁に運ばれたという情報があるが、生死は不明のままだ。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)