チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年2月4日
隠されたダンゴで逮捕と拷問
ダンゴやセルタでは情報網と交通網が遮断され真実は壁の中に隠されている。それでも、何とかそこから抜けて外に出た運送業者を中心としたチベット人が中で行われている厳しい弾圧の状況を伝えている。昨日のTibet Express http://p.tl/n6AR と今日のTibet Times http://p.tl/tyG2 が複数の情報源から集めた状況をまとめて報告している。この2つの記事を基に以下、現在のダンゴの状況を中心に報告する。
ダンゴでは抗議デモの参加者が次々逮捕され、拷問を受けている。武装警官隊の発砲により負傷した人たちも逮捕され、動くことができる者は極寒の山に逃げ込んでいるという。
ダンゴには大部隊が投入され、デモ参加者のほとんどはすでに逮捕された。デモに参加しなかったチベット人も頭に黒い鉢巻きをした武装警官により逮捕されている。
ダンゴ僧院とザンガン僧院で行われた被弾死亡のユンテンに対する法要に参加しようと付近の村々から僧院に向かったチベット人たちも途中で制止され、暴力を受けた。
被弾し負傷したチベット人の数は60人に上ると言われるが、その内半数はすでに逮捕された。他の者は山に逃げた。この数日間に逮捕された者たちは県の裁判所の中庭に集められ、裸にされ殴られているのが目撃されている。
街にはチベット人の姿はほとんど見られず、中国人ばかりが出歩いているという。県当局関係者が明かしたところによれば、すでに400人のチベット人が逮捕されたという。(この部分Tibet Expressは同じく役人の話として「これからさらに400人が逮捕されるであろう」)となっている。
セルタでもデモ参加者の逮捕が続いているという報告がある。報告は入っていないが、同じく封鎖されているザムタンでも撮影された、写真やビデオを基にデモ参加者の逮捕が行われていると思われる。また、逮捕された者たちがリンチされていることも間違いないと思う。
現地ではチベット人の移動や商業活動がほぼ完全に停止され、その代わり中国人たちの数が増え商業活動などを行っているという。当局の厳しいチベット人に対する弾圧と差別を目の当たりにしてチベット人たちの中国当局や中国人に対する怒りは益々高まっていると報告される。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)