チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年1月29日
ウーセル・ブログ「瘋蟹:4枚のチベット漫画」
以下、ウーセルさんの1月27日付けブログより。中国指導者たちのチベットに対する態度を揶揄する漫画。
原文:http://p.tl/79TL
翻訳:雲南太郎(@yuntaitai)さん
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◎瘋蟹:4枚のチベット漫画
チベット人の焼身抗議や抵抗運動について、漫画「蟹農場」(http://hexiefarm.wordpress.com/)の作者、瘋蟹が4枚のイラストを「カートゥーン・ムーブメント」(http://www.cartoonmovement.com/)で立て続けに発表した。
彼はツイッター(@hexiefarm)で、「2008年以降、チベットを題材にした漫画は国際的にもとても少ない。特にチベット僧の焼身抗議について、現時点では世界の漫画界は恐ろしい沈黙を保っている。こうした情況が早く改められるよう願っている」「この漫画は全4枚。チベットも蟹農場のテーマの一つになるだろう」と書いている。
私が深く感動したのは、瘋蟹が4枚目の漫画について、「これは僧侶と歴史に敬意を表した絵だ」とフェイスブックでコメントしたことだ。
「燃え上がる政治局常務委員会」
2009年2月以来、既に17人のチベット人が焼身抗議している。
「ブッダの涙」
2009年2月以来、既に17人のチベット人が焼身抗議している。
「無題-03」
舞台の上には「HARMONIOUS TIBET」(和諧チベット)と書かれている。
1月23日、中国の兵士がチベット人抗議者に発砲し、少なくとも1人が殺された。
「プロパガンダの策略」
春節前、チベット自治区政府は僧院や学校、農村、家庭に飾ってもらうため、100万枚以上の国旗と領袖ポスターを配布した。これらの肖像画に描かれているのは毛沢東と鄧小平、江沢民、胡錦濤という4世代にわたる中国の指導者だ。自治区政府主席のペマ・ティンレーは「領袖の絵を飾るのは、チベット人民が党と政府に心から感謝していることの表れだ」と話す。
3枚目の漫画に関するツイート
hexiefarm「幕はチベット人の血で染まっている。 RT @degewa(注・ウーセルのアカウント) 真相を覆い隠す血の色の幕から眼鏡の男が……」
4枚目の漫画に関するツイート
hexiefarm「この絵は強権政治の暴力だけでなく、抵抗する僧侶の勇気と歴史を示している」
ウェブサイト「カートゥーン・ムーブメント」は政治を風刺する漫画のコミュニティ。「真理はただ一つではない」を理念に、100人以上の漫画家が世界に向けて異なる声を伝えている。瘋蟹は「このチベットの漫画をカートゥーン・ムーブメントに発表することで、より多くの漫画家の関心を呼び起こしたい」と話している。
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おまけの一枚。最近4人の指導者の写真が入ったポスターを自治区に100万枚配ったことを揶揄する漫画。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)