チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年1月27日
<速報>ンガバ、ザムタン県バルマ郷で保安部隊と地域の住民が衝突、発砲により1人死亡か?
以下、先ほど(26日午後9時)、ダラムサラ・キルティ僧院の僧ロブサン・イシェと僧カニャック・ツェリンが伝えた情報。Tibet Timesチベット語版http://p.tl/X3nIがこれをさっそく転載している。
今日、現地時間午後2時頃、ンガバ、ザムタン県(འཛམ་ཐང་རྫོང་壤塘)バルマ郷(བར་མ་ཞང་)の住民が抗議活動を行った際、武装警官隊と軍隊が群衆に向かって発砲し、死者、負傷者が出た。夕方7時時点でバルマ郷周辺のズトゥ郷、ズメ郷からこの事件を知ったチベット人が集結中との報告があり、その数1万人という。緊張が高まっている。
この事件の直接のきっかけとなったのは、1人のチベット人がチラシを張り出したことによる。今日12時頃、ザムタンとズトゥ郷、バルマ郷にリプン・ノルモ家の息子タルパ(རི་སྤུངས་ནོར་མོའི་བུ་ཐར་པ་)がチラシを張り出した。この中には「これまで多くのチベット人が焼身抗議を行った理由はチベットの自由とダライ・ラマ法王帰還のためである。この目的が達成されない限り、我々の活動に終わりはない」等と書かれていた。チラシの下にはこれを書いたのはタルパであると署名され、本人の写真まで張ってあり「お前たち中国共産党よ、さあ捕まえに来い」と書かれていた。
午後2時頃、武装警官隊と軍隊が大勢動員され、リプン・ノルモ家の周りを囲い、彼を逮捕した。これを見た隣人たちは彼を取り返そうとして部隊と衝突した。同時に抗議のスローガンを叫び、「もしも彼を逮捕すれば、全てのチベット人が立ち上がるであろう」と叫んだ。この際、部隊は様々な武器と共に銃を発砲した。その場で1人が殺され、大勢が負傷したというが、名前等はまだ伝わっていない。
ザムタン県の位置は>http://p.tl/kf76
バルマ郷(四川省 アバ・チベット族チャン族自治州 壌塘県 中壌塘郷)は>http://p.tl/Fe50
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)