チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2012年1月24日

カム、ダンゴの続報/今日セルタでデモ、当局の発砲により5人死亡か?

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昨日の朝始まったカム、ダンゴの抗議デモに関する新しい情報は今のところ特に入っていない。これはいつものことであるが、当局が電話など現地と外部の連絡手段を全て切断してしまったためと思われる。

昨日時点での様々な報告をRFAがまとめたと言える記事がアップされていたのでそれを中心に、今までに伝えられたダンゴの状況をお知らせする。

23日付けRFA英語版http://p.tl/heKt は「抗議デモで6人が死亡と伝えられる」と題されている。

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現地のチベット人及び亡命側が伝えるところによれば、ダンゴで昨日(23日)行われた抗議デモに対し当局が発砲した事により、少なくとも6人が死亡し、不特定数の負傷者が出たと思われるという。

当局の発砲により、デモは巨大化した。「少なくとも2人が撃たれ死亡し、10人以上が負傷した」と現地からある人は報告する。「抗議者の内の1人は焼身抗議を行おうとした」ともいう。

チベット亡命政府は「当局の無差別発砲により、6人が死亡したという報告がある」と発表した。

現地と連絡を取った在インドのチベット人記者ロブサン・ケンツェは「相継ぐ焼身抗議による同胞の死を悲しむチベット人たちに対し、中国当局が中国の旧正月を祝うように強要したことが今回のデモの原因である」という。

デモの数日前、ダンゴの県庁舎前に匿名のチラシが張り出された。その中には「我々チベット人には自由がない。そして、今年すでに数人の同胞が自らの命を犠牲にした。だから、中国の正月に私は焼身抗議を行う。私の遺体が中国の手に渡らないよう、全てのチベット人にお願いする」と書かれていたという。

同じく現地からの連絡を受け取った在インドの僧侶イシェ・サンポによれば、「最初、数百人のグループがチベットの自由とダライ・ラマ法王の帰還を求めるスローガンを叫びながら行進を始めた。彼らが地元の警察の前に来た時、警官は発砲した。その場で2人が撃たれ死んだ」

「デモは朝始まり今(現地時間午後3時半)も続いている。デモ参加者たちは破壊行為も行った。周辺にあった中国の店や中国関係の施設を壊した」

デモに参加した僧侶は言う「警察署に達したとき警官は我々に向け自動小銃を使って発砲した。彼らは我々を蹴散らすために消火器や催涙ガスも使った」

「ユンテンという男性が殺された。少なくとも32人が負傷した。5人は重傷だった」と。

「もう1人ロギャの息子としか分らないが、彼も撃たれて死亡した」とも報告する。

他の参加者は「何百にものチベット人が拘束された」という。

チベット亡命議会もネットで「少なくとも6人が殺された」と報告している。

Tibet Expressは「タウやカンゼからも大勢のチベット人がダンゴ僧院に集まり、その数は6000人ほどになっている。テンジン・タルゲというダンゴ僧院の医者が被弾し、銃弾を抜く事ができず重傷である」と報告する。

RFAに入った電話によれば、「32人の負傷者がダンゴ僧院に運び込まれた」という。

チベット亡命政府と議会は中国当局が平和的抗議デモに発砲し、事態を悪化させたことに対し強く抗議した。また「国際社会がこのような明白な人権侵害に対し沈黙を続けていることに驚きを感じる」とも記されている。

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ダラムサラ・キルティ僧院によれば、同じく昨日アムド、ンガバのメウルメ郷でナムツォ僧院僧侶を中心に約100人が平和的デモを行った。これに対し、当局は大勢の武装警官と軍隊を派遣しデモ参加者を殴り、大勢を拘束したという。>Tibet Times http://p.tl/J6cF

また、今Tibet Expressが速報として伝えるところによれば、カム、セルタで今日抗議デモがあり、すでに5人が死亡したという。http://p.tl/063V
Tibet Expressはセルタ出身者が組織するメディアである。現地からの情報が直接入っていると思われる。詳細が分り次第追ってお伝えする。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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