チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年1月23日
アムドの高僧 拷問の結果死亡
22日付けRFA英語版http://p.tl/dkq9より。
チベット人の権利擁護運動の先頭に立っていたアムドの高僧が、昨日22日拷問の結果死亡。
以下の情報は北京在住のチベット人作家ウーセルさんが伝えたもの。
去年7月に拘束されたゲシェ・ツルティム・ギャツォ師(དགེ་བཤེས་ཚུལ་ཁྲིམས་རྒྱ་མཚོ་51)は先月解放された。しかし、拷問の跡が明らかで、その時非常に衰弱していたのですぐに病院に連れて行かれた。数日前に病院からも見放され家族の下に返され、昨日死亡したという。
彼はカンロ(海南チベット族自治州)ティカ県ヒムツァདྷཱིཿཚ་僧院のゲシェであり、2006年のインドで行われたカーラチャクラ法要に参加した後、当局に目を付けられていた。2008年には60人の僧侶を引き連れ、チベットの自由を訴え、ダライ・ラマ法王の写真を掲げて抗議デモを行った。
彼はまた、チベット語擁護の運動にも熱心で各地で講演を行っていた。拘束されたときも民族学校に呼ばれ、講義を行っていた。その場に突然公安が入って来て彼を連れ去った。
RFAがアムドの警察にこの件を質すために電話を入れたが、係りの警官は「我々はギャンツォのケースについては何も知らない。刑務所の外で死亡した受刑者に対して当方は何の責任もない。沢山の拘束や解放のケースがあるので一々のケースを把握しているわけではない」と答えたという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)