チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年1月21日
8日に焼身抗議死亡のソバ・リンポチェ 遺言テープが届く
20日付けRFA英語版http://p.tl/WBfA より。
「中国支配により破壊されつつある国家と文化を守るために、チベット人は一団となり闘うべきだ」焼身抗議を行い死亡したチベット仏教の高僧は、その焼身の直前、遺言をテープに録音していた。
このテープが家族の友人によりRFAに送られて来た。
ソバ・リンポチェ(42)は1月8日、ゴロのダルラで北京の支配に抗議し焼身した。炎に包まれながら、彼はチベットの自由とダライ・ラマ法王の帰還を訴える叫びを上げた。
テープに残されたメッセージは彼の黄色い衣に包まれていた。テープは約9分間。実際に以下にアクセスすれば聞くことができる。ただ、ゴロ方言が強く残念ながら私には聞き取れない。>http://p.tl/ptUD
RFAによれば:彼は初めに、これまでチベットのために焼身抗議を行った人々に対し敬意と感謝を述べている。「国としてのチベットの輝かしい将来はこれら勇者・勇女、及び団結するあなた方全ての努力にかかっている」という。
リンポチェは「自らの心と身体をチベットの600万人同胞の幸福と、特にダライ・ラマ法王を初めとする全ての高僧のために捧げる」と宣言する。
さらに「若者たちは自らの文化を学ぶべきだ。そして年輩の者たちはできる限り自らの言語と習慣を守るべきだ」と語る。
リンポチェは僧院のラマであると共に、地元で養老院と孤児院を経営し、地域のチベット人たちから篤く尊敬されていた。
ソバ・リンポチェを誹謗したとしてペマ県で新たなデモ
18日、ゴロ、ペマ県ではザ僧院བཛ་དགོན་པ་、アキョン僧院ཨ་སྐྱོང་དགོན་པ་、ペナック僧院པད་ནག་དགོན་པ་の僧侶が中心となり、一般市民も加わり約200人ほどのチベット人が抗議デモを行った。
現地からの報告によれば、彼らは「ダライ・ラマ法王のチベット帰還を!パンチェン・ラマと全ての政治犯を解放せよ!焼身抗議を行った勇者・勇女を忘れるな!」と叫んでいたという。
警察は現場では直接介入せず、デモは2、3時間続いたという。「同じ日の午後おそく、チラシがばらまかれたり、張り出された。そこには『もっと多くの者たちが焼身抗議の用意をしている』と書かれていた」
次の日には郷と県の保安部隊がペナック僧院とアキョン僧院を包囲した。「デモに参加した何人かは逃げ、何人かが拘束された」という。
報告によれば、「このデモは中国当局が、尊敬される高僧であるソバ・リンポチェの焼身に対し、『これは彼が既婚女性との問題を抱えていたからだ』とコメントしたことに原因がある」という。
「これは偽りの誹謗だ。だから人々は怒り、デモを始めたのだ」と。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)