チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年1月14日
速報:今日再びンガバで焼身抗議 集まったチベット人に発砲負傷者がでる
ダラムサラ・キルティ僧院の情報係り僧カニャック・ツェリンが伝える所によれば、今日現地時間午後1時半頃、ンガバ市内で20歳前後の俗人チベット人1人が抗議の焼身自殺を行った。彼がその時スローガンとして何を叫んだのか、また彼の氏名、出身地等は未だ不明。
以下カニャック・ツェリンの報告を書き出した今日付けTibet Times http://p.tl/uUtpより。
現場には直ちに武警と軍隊が大勢駆けつけ、彼を囲み刺のある棍棒などで殴り付けた。付近にいたチベット人も大勢集まり、ある者は抗議の叫びを上げ、ある者は懇願した。チベット人たちは焼身抗議者を奪い返そうとしたが、武警と軍隊の数が勝り彼を奪うことはできなかった。
衝突が起こり、俗人2人と尼僧1人が拘束された。この時1人の年輩女性が重傷を負い死にそうになっていたともいう。この後、チベット人俗人と僧尼が大勢付近から集まり、その数は膨大となり緊張が高まった。軍隊は装甲車を群衆の中に突っ込み多くの人が倒されたという。さらに、軍隊は群衆に向かって無差別発砲を行った。目撃者の話によれば、少なくとも若者1人と女性1人が撃たれた。顔を血で真っ赤にした女性を多くの人が目撃したという。
この件があってすぐにキルティ僧院の門は閉ざされたが、大勢の僧侶が現場に集まっているという。また他の僧院や周辺地域のチベット人も大勢集結しつつある。武警や軍隊の数も増し、双方の人数は増える一方で緊張が高まっているという。
追記:他のレポートによれば、焼身抗議の男性はその場で武装警官たちに殴り殺されたという。
また、発砲により死亡した者もいるともいうが、何れも、現時点では未確認。
追記(17日):焼身抗議した青年の写真(右)が届き、名前が判明。名前はロプサン・タシ(又はジャミヤン)20歳前半。元僧侶。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)