チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年1月14日
拷問の末、容態悪化し刑務所から出され、死亡したり障害者となるもの続出
9日付RFA チベット語版http://p.tl/l8Zx
10日付けTibet Times チベット語版http://p.tl/BQ_E
Tibet Net 英語版http://p.tl/qOsa によれば、
昨年12月27日、カム、デルゲ・ジョンダ・ゾン(ཁམས་སྡེ་དགེ་འཇོ་མདའ་རྫོང་པདྨ་ཤང་自治区チャムド地区江達県)ペマ郷出身のアシャクツァン・ノルラ(ཨ་ཤག་ཚང་ནོར་ལྷ་49)が健康を理由に刑務所から出された後、ラサの病院で死亡した。
2009年にジョンダ県では僧院に対する愛国再教育が強化された。キャプチェ僧院སྐྱབས་ཆེ་དགོན་ではダライ・ラマ法王を批難することを僧侶全員が拒否し、僧院を出た。7月27日、軍隊が大勢ペマ郷に現れ、僧2人を拘束しキャプチェ僧院に連れ込んだ。これを知った付近のチベット人たちは2人を解放せよと僧院に押し掛けた。軍隊は彼らに襲いかかり暴行の末22人を逮捕。この中アシャクツァン・ノルラとゴンポ・ダルゲམགོན་པོ་དར་རྒྱས་が首謀者であるとして2人はチャムドに送られ、ノルラは6年、ダルゲは5年の刑を受けた。
拘置所や刑務所で激しい拷問を受け、その結果2011年アシャックツァン・ノルラは危険な状態になったというので健康を理由に外に出された。その後成都の病院に3度行ったが、容態は回復せず、去年末ラサの病院に送られ、そこで死亡した。
12日付けRFAチベット語版によればhttp://p.tl/pA6qゴンポ・タルゲもほぼ同時期に健康を理由に外に出された。彼も激しい拷問を受け、現在自宅で療養中というが、両足が麻痺し歩く事ができない状態という。
Tibet Netでは2011年3月にブルックという2009年に逮捕された政治犯が同じく拷問の末、刑務所内で死亡したと短い報告が付け加えられている。
13日付けRFAチベット語版http://p.tl/7-k3によれば、2009年にリタンでチベット国旗を掲げ、チベット独立等のスローガンを叫び逮捕、3年の刑を受けたリタン僧院་ལི་ཐང་དགོན་ཆེན་僧侶チュキョン・ツェリン(ཆོས་སྐྱོང་ཚེ་རིང་23)は2週間ほど前に健康を理由に外に出された。拷問の跡が明らかであり、頭の至る所に傷跡があり、記憶が確かでなく、四肢の麻痺もあるという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)