チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年1月10日
6日焼身抗議の2人死亡 去年10月15日焼身抗議のノルブも死亡 計11人死亡
ノルブ・ダンドゥル以外の写真は、6日に焼身抗議した2人のために一昨日ブッダガヤで行われたSFT主催のキャンドル・ライト・ビジル。
ダラムサラ・キルティ僧院の情報係り僧ロサン・イシェと僧カニャック・ツェリンによれば、6日に焼身抗議を行った2人はすでに死亡したという。また、去年10月15日に焼身抗議を行った元僧侶ノルブ・ダンドゥルも5日にマルカムの病院で死亡と。
以下、彼らの9日付メールを翻訳する。
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ンガバ県バルマ郷ドンク・シャクドゥック・メンパ家རྔ་པ་རྫོང་བར་མ་ཞང་ལྡོང་ཁུའི་ཞག་གདུགས་སྨན་པ་ཚང་の息子ツルティムཚུལ་ཁྲིམས་(元僧侶)20歳前後及び、ンガバ県タワゴンマརྔ་པ་རྫོང་མཐའ་བ་གོང་མ་出身のテンニབསྟན་ཉི་(僧侶)20歳前後の2人は1月6日、ンガバの街中にあるシド飯店の敷地内で焼身抗議を行った。「ダライ・ラマ法王をチベットにお呼びしよう!ダライ・ラマ法王に長寿を!」と叫び、炎に包まれながら敷地から外に飛び出した。すぐに近くにいた警官や軍人が駆けつけ火を消し連れ去った。
僧テンニはその日の内に死亡、ツルティムは7日の夜死亡した。2人の死を知った街の人々は商店や飲食店にシャッターを降ろし、追悼の意を示した。しかし、当局は人々が彼らの家族の元を慰問のために訪れることを禁止し、街の警戒を強化。
これとは別件であるが、先の2011年10月15日に焼身抗議を行った、ンガバ県ソルマ、ペマ家རྔ་པ་རྫོང་སོ་རུ་མའི་པདྨ་ཚང་の子である愛国勇者(元僧侶)ノルブ・ダンドゥルརྒྱལ་གཅེས་དཔའ་བོ་ནོར་བུ་དགྲ་འདུལ་ལགས་(19)が今月5日にマルカムの病院で死亡した。遺体は家族に渡されず、すぐに当局が火葬し、遺灰だけが家族に渡されたという。
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5日に死亡したノルブ・ダンドゥル、6日に焼身抗議し死亡した僧テンニとツルティム、8日に焼身抗議しその場で死亡したトゥルク・ソナム・ワンギェルと、今年に入りすでに4人の焼身抗議者が死亡している。去年3月以降焼身抗議を行い死亡したチベット人の合計は11人となった。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)