チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年1月10日
カーラチャクラ法要最終日
早朝6時に法王会場にお出ましになる。会場に入るために一般の人たちは朝3時頃から列を組んでいたらしい。一般の人はセキュリティーチェックのせいで中に入るのに2、3時間かかる事もある。毎日本当に大変な労力を使いこの灌頂を受けているのだ。多くの参加者たちは、法王曰く「灌頂を受ければ浄土へのパスポートを手に入れたと思っている」。もちろん法王は「そんなパスポートはどこにもない。仏教を勉強し自分の心を変えない限りそんなことは起こらない」と。
8時頃まで昨日終らなかった、灌頂の続きを行われた。続いて法王の長寿を願う「テンシュク」。その間に壇上には神託の神々が登場し、会場騒然となる。最後にビハール州州知事等が演説。法王も締めのスピーチをされた。
神託ガドゥン。チベットで一番古い神と言われネチュンと共に法王と政府への神託を担う。
法王は最後にご自身の母親を思い出され「私の母は非常に優しい人であった。そのお陰で私は人にも優しくでき、安定した心を維持できるのだと思う。愛情が心の安定の基礎となる。幼少時に愛情を受ける事がなかった人は不安多く、暴力的になる人が多い。暖かい心が幸せの元である。慈悲深い人の心は静かだ。だから愛と慈悲の心を育てることは自他ともにとても大事なことだ」とおっしゃった。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)