チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年1月3日
インドで日本の本格的大晦日を味わいたい人は…
先の大晦日、ブッダガヤにある日本寺にお邪魔した。「年越しそば」が振舞われると聞いたからだ。行って見ると、お祈りあり、キャンプファイヤーあり、除夜の鐘が突け、花火に、大太鼓パーホーマンス、そして年越しそばとたっぷり日本的大晦日情緒が味わえた。
この日本寺は30数年前ブッダガヤを訪れたとき、毎日朝座禅させて頂いていたと言う思い出の場所でもあった。そのころ、当たりには畑が広がっていたと思うが、今は建物で埋まっていた。
ブッダガヤ印度山日本寺の中は、ここがインドとは思えない程、外観も内部も純日本風。本尊はシャカムニ・ブッダ。
まず、参加した日本人と外人が張りのある日本人僧侶の読経に合わせ観音経と般若心経を唱えた。チベットの単調な長~い読経ばかりに慣れていた者には、久しぶりに聞く日本の読経は鐘や太鼓を使いながらでなかなか聞かせるな~と関心。
境内には大きな梵鐘があり、一人づつ鐘を突いた。去年までは108人を籤で選んでいたようだが、あまりに参加者が多いと言うので、今年から108回以上打ちたい人が終るまでやる事になったという。一人づつの音の大きさも音色も違いそれが聞き所。大きな音がなるとみんなから握手が起こる。インドで除夜の鐘をならすのは初めての経験であった。
最近ダラムサラの密教寺院で勉強を始められた京都は東寺の杉山本學氏。こんな強烈な隠し芸があるとは知らなんだ、という大太鼓パーフォーマンス。3度に分け40分程唸らせつづけた。
除夜の鐘に驚いたのか、魅せられて集まったのか?寺の上空に多くの白サギが集まり、優雅に長い間舞い続けていた。
数百人に年越しそばが振舞われた。インド人の子供たちもだしの効いた麺を味わっていた。
というわけで、インドのブッダガヤで大晦日もなかなかおつなものと知った。インド旅行中に日本風大晦日を味わいたくなったという人は是非ブッダガヤの日本寺へ。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)