チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2012年1月1日

ブッダガヤ・カーラチャクラ灌頂始まる

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budagaya khalachakra

いよいよ、ブッダガヤのカーラチャクラ灌頂が始まった。参加者は20万人との予想だが、実際どれほど集まったのかまだ正式な発表がないので正確な数字は不明だが、15万人以上であることは確実と思われる。

今日はあいにくというかチベット的には吉祥の印である慈雨が朝から降っていた。雨はたいしたことはなく、会場にはテントが張ってある。もっとも場所によっては相当濡れた人もいたようだ。とにかく10万人以上の人が一同に会するという壮大な光景を見たのは初めてであった。ぎっしり詰まった人々の果てを見るができないという大集団。

_DSC8814ダライ・ラマ法王は朝8時に会場に到着され、すぐにカーラチャクラの長い成就次第を会場に集う僧侶と、そのスピードに付いて行ける俗人たちと共に始められた。

_DSC8810カーラチャクラと化される法王。

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_DSC8753午後からはサンスクリット語及びチベット語による般若心経が唱えられた後、まず法王は「今日は西洋暦の新年に当たる。だから、皆さんにタシデレと言いたい」と挨拶された。その後、会場に「集まった人の中でチベット本土から来られた方はどれほどいるかな?手を上げてほしい」とその大体の人数を確認された。

「チベット本土では心の狭い中国の指導者たちのせいで、仏教を勉強したり、行じたりすることが困難な状況にある。仏教とは何かを知る機会が少ないかもしれない。だから、本土から来た人はこの機会にしっかり心して耳を傾け私の説明をきいてほしい。仏教はただ祈ることで幸せが来るというような教えではない。心を正しく統治することにより、心を変えることにより幸せを得ることを説く。ありのままの現実を知る事により、間違った認識を正すことが基本だ。ブッダ自身も『私はみんなに幸せへの道を示すだけだ。それぞれの人々の苦しみを手で除くことはできない。それぞれがその道を実践しない限り幸せはやって来ない』とおっしゃった。今日の教えの対象の中心はあなた方だ。だからちゃんと聞いて、帰ったら理解したことを周りの人たちにも伝えることができるようにしてほしい」と。

その後、中国人に手を上げさせ、ブータンはじめヒマラヤ地区から来た人たちにも手を上げさせた。最後に西洋人に対し「Happy New Year!」と声を掛けられた。

_DSC8682大鍋にバターたっぷりのチベットティーが作られ、大勢の僧侶により大急ぎでみんなに配られた。もちろんパンも配られた。通路を僧侶たちが全速力で走り回る姿も見物であった。

法王はその後、灌頂を受ける心構えを説かれた。
ブッダガヤで灌頂を受ければ、灌頂を7回受けたと同じ加持力が生まれるとも話された。

DSC_3311話は前後するが、昨日法王はブッダガヤに到着されるとすぐに大塔を訪れられた。道のまわりには、このためにチベットから来た人たちが、一目法王に見えようとカタを手に必死の様相で押し合いへし合いしていた。法王の姿を見て涙を流す人を沢山見た。

DSC_3318大塔の前で五体投地される法王。

DSC_3315

DSC_3474法王は大塔を訪問された後、記者会見を行われた。

仏教を生んだインドは世界に対し平和と宗教間の調和を発揚するべきだと強調された。
また、「私はシャカムニ・ブッダを思想家であると共に、古代の科学者であると思う。ブッダは『僧侶や知識人は、私の言葉を本物の金かどうかを見抜く人のように焼いたり、擦ったりせよ、そのまま信じてはいけない』とおっしゃった。これは科学者の考え方と同様だ」と語られた。

チベットの状況を聞かれ、「今、チベットは困難な状況の下にある。しかし、我々には真実がある。私は度々、我々の闘いは銃の力と真実の力の闘いであると言う。長期的に見れば、銃よりも真実の力が勝るのだ」と答えられた。

最後になったが、このブログを見て下さっている日本の方々に「明けまして、おめでとうございます!!!」今年、皆様に沢山のいいことがありますように。ことしもチベットのことを忘れず見守って下さることを心よりお願い致します。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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