チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年12月26日
カルマパ「中国の軍人も同じ人間である」と
カルマパがミラレパの詩歌を唱える(歌う)というビデオ。残念ながらどの詩歌か同定できず、意味はお伝えできない。まずは、その声だけを味わってほしい。
以下、25日付けRFAチベット語版よりhttp://p.tl/dJiq
カルマパは中国の軍人も同じ人間であると述べられた。
17世カルマパ・ウゲン・ティンレー・ドルジェ師は先週土曜日(24日)、デリーでカルマ・カギュ派立宗900年祭を取り仕切られた。これは1世カルマパであるドゥスン・ケンパが1110年に宗派を創設して900年経った(実際には今年で901年)ということを記念する儀式であった。
この時のスピーチでカルマパは「愛と慈悲の心」を説く話の中、2000年初頭に中国(チベット)からインドへ亡命するために、秘密裏にネパール国境を越えたときの話をされた。
「馬に乗り国境を越えるとき、自分も従者も中国の軍隊に見つかるのではないかと非常に怖れ、彼らをまるでお化けか悪霊のように思っていた。しかし、その内、私は彼らも同じ人間に違いないと思う事ができるようになり、怖れを克服する事ができるようになった」と語られ、「我々がもしも仏教を行じることで、(害を及ぼす)他人を敵と思わず愛と慈悲を起こし、見方を変えるならば、自他ともに大きな利がある。人間同士の利害の対立も必ずや少なくすることができる」と話されたそうだ。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)