チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年12月13日
焼身抗議し死亡したテンジン・プンツォ氏の遺書
6月1日に焼身抗議を行い、6日に死亡した元カルマ僧院僧侶ロンツァ・テンジン・プンツォ氏の遺書 ཁ་ཆེམས་がチベット亡命議会のサイトに発表された。>http://p.tl/Fbe0
遺書は4種ある。遺書の中には「カルマ僧院の僧門に張って下さい」と書かれていたものもあったという。
(一部難解な詩偈の部分は意訳させて貰った)
関連ブログ:http://p.tl/sdD1
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1) チベットをチベットたらしめている仏教の教えを、その正しい見解とともに保持するカルマ僧院の見者(僧院長)ロトゥ・ラプセル師とナムセ・ソナム師、及び全ての僧侶、尼僧が拘束され、むち打たれている今。カルマ僧院の子弟に関係する私は苦しみの内に死を選ぶ。チベット人としての誇りを持ち続ける愚生テンジン・プンツォ記す。
兄弟たちよ、心挫けるなかれ、勇気を失うなかれ。
2) 自他交換の法友たちよ。仏法を保持する見者2人と僧侶、尼僧たちのことを思ってほしい。宗教を否定する独裁政権をどうして信頼できよう。テンジン・プンツォ記す。
3) カルマ僧院の法友たちよ.戒定慧を備えた見者と僧侶、尼僧のことを思うと生きる意味を失う。みんな立ち上がろう!世の人々は世間の八法に侵され、敵を怖れ逃げ惑う哀れな動物の如し。取るに足らぬ今生にも縁起の法はある。導師ブッダシャカムニに祈りを捧げる。苦しみに凌駕される愚生テンジン・プンツォが記す。
4) チベット全土と今年のカルマ僧院の受難を思うとき、私はこの世に留まることができない。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)