チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年12月2日
再び焼身抗議13人目、チベット自治区で初めて
チベット自治区チャムド地区カルマ郷近くのギンタン(གྱིང་ཐང་)村で昨日(12月1日)午後、元カルマ僧院僧侶テンジン・プンツォク(བསྟན་འཛིན་ཕུན་ཚོགས་46)が中国政府に対する抗議の焼身を行った。
この情報は最初、中国のマイクロブログやフェースブックに流れ、その後亡命側やRFAに現地からの報告が数件入り確認されたものだ。
テンジン・プンツォは焼身前にスローガンを叫び、チラシも撒いたというが、その内容はまだ伝わっていない。ある情報によれば、火は駆けつけた警官により消され、チャムドの病院に運び込まれたという。その後の情報は入っておらず、彼の今の容態は不明。
彼にはドルマという妻と2人の息子、1人の娘がいるという。焼身を行う数日前、彼は友人たちとの話の中で、最近カルマ郷で起こった爆弾騒ぎの後、カルマ僧院の僧侶たちが弾圧され、多くの逮捕者が出て、僧院が閉鎖されるかも知れないということに対し、強い抗議の姿勢を示していたという。
(カルマ郷の爆弾事件とその後のカルマ僧院弾圧については、参照過去ブログ>http://p.tl/QdYu http://p.tl/iKiV http://p.tl/m6nB
これでチベット内の焼身抗議者は13人目となるが、チベット自治区内での焼身抗議は初めてだ。また、妻子ある俗人の焼身も初めてである。
参照:1日付けRFA英語版http://p.tl/AUot
同チベット語版http://p.tl/N4UU
1日付けICTリリース http://p.tl/6EcG
2日付けphayul http://p.tl/DSgd
追記:VOTに現地から電話連絡した人の話によれば、テンジン・プンツォク氏は激しく燃え上がり、丸焦げになった後、警官が来て連れ去ったという。命が助かる望みは少ないであろうと語る。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)