チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2011年11月21日

<衝撃映像・閲覧注意>尼僧パルデン・チュツォの壮絶な焼身

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新たに亡命側に伝えられた映像。今月3日正午頃、カム、タウの街中で焼身抗議を行いその場で死亡した尼僧パルデン・チュツォ(35)。巨大な炎に包まれ、そのまましばらく不動の姿勢に留まる。間もなく、崩れ落ちる。

これを見た女性が、悲鳴と共に、法王を呼び出す経を唱える声が聞こえる。近づきカタを投げかける女性も。

次のシーンでは尼僧たちが抗議デモを行っている。「チベットに自由を!」「ダライ・ラマ法王に長寿を!」等の叫びが聞こえる。
次は6日早朝、暗い内にニンツォ僧院で行われた尼僧パルデン・チュツォの葬儀と思われる。
大勢のチベット人がキャンドル・ビジルを行う。
僧院の中では追悼会。外では多くのチベット人が遺体にカタを捧げるために列をなす。
明るくなった頃、上の道を武装警官が走る姿も写っている。僧侶たちはこれを気にしている様子もない。
最後に道を走る武装警官隊の車が隠し撮りされている。
関連ブログ:http://p.tl/o8XR

1111211215503Lロイターのレポーターが最近現地タウに潜入取材した記事が20日付で発表されている。>http://p.tl/7pZv

レポーターは尼僧パルデン・チュツォが所属していたガンデン・ジャンジュップ・チュリン尼僧院を訪ね仲間の尼僧にチュツォの人柄等について尋ねている。尼僧院はタウの町から車で1時間程かかる山奥にある。チュツォはこの人里離れた静かな尼僧院の日干しレンガでできた小さな小屋に10年以上暮らしていたという。

「チュツォはもの静かな尼僧だった。聡明でお経によく通じていた。ダライ・ラマ法王を篤く尊敬していた」と仲間の尼僧は語る。しかし、周りの誰も彼女が焼身自殺を行おうとは思ってもいなかった。
「彼女が焼身抗議を行ったと電話で聞いてすぐに何人かが町に駆けつけた。しかし、もうそのときは遅過ぎてどうする事もできなかった。彼女は1/2リットルほどのガソリンを飲んだと聞いた」
「彼女はいつも法王の帰還を夢見ていた」と尼僧院の指導的尼僧は言う。

彼女は焼身を行う数日前に「焼身した人々を本当に可哀想に思う」「ダライ・ラマ法王がお帰りにならない限り何も変わらない」と話していたという。

4074416060写真はREUTERS/Carlos Barria。13日撮影。尼僧院そばでくつろぐ尼僧たち。

このビデオを見てSFT代表のテンジン・ドルジェは「この映像は絶望と同時に、チベット人の全てを掛けても自由を得ようと言う決意を示している」とコメントする。

また同じくSFTのテンジン・ジクデルは「彼らは命をかけて世界にメッセージを届けようとしている。中国のチベット弾圧に対し今すぐに世界が介入しない限り、これを止めることはできないであろう」と。この部分参照:今日付けphayul

追加写真(ロイターより)
article-2064258-0EDF180400000578-997_634x397尼僧パルデン・チュツォが暮らしていた尼僧院ガンデン・ジャンジュップ・チュリン

article-2064258-0EDF180800000578-648_634x366ガンデン・ジャンジュップ・チュリンの尼僧たち

article-2064258-0EE1B2F800000578-344_634x410北京にて。これからチベットに送られる若い兵士たちの壮行会。

<追加映像>尼僧パルデン・チュツォさんの焼身の映像、長いバージョンが発表された。(11月28日)http://www.youtube.com/watch?v=iSx1p63vwfw&feature=player_embedded

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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