チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年11月10日
カトマンドゥ、ボドナート仏塔そばで焼身抗議
今日、朝7~8時の間にネパールの首都カトマンドゥ、ボドナート仏塔横で一人のチベット人僧侶が焼身抗議を行った。
彼は灯油を身体に掛け、「チベットに自由を!」と叫んだ後、火を付けた。幸いそばに居た友人がすぐに火を消し、病院に運び込んだという。現在の状況は不明だが、「手を中心に火傷を負っただけで、命には支障はない」という情報も入っている。
今日はチベット暦の15日であり、朝から大勢のチベット人がボドナート仏塔の周りを右遶していたという。事件があった後、すぐに警察と軍が仏塔周辺を閉鎖したが、すでに焼身した僧侶と友人は消えた後であり、周りの目撃者は警察に情報を与えることを拒否したという。
警察当局は「25歳位の男性が”Long live free Tibet’と叫んだ後、自身に火を放ったが、最初から仲間がすぐに火を消す算段をして行ったものであり、これは焼身ではない」と発表している。
亡命チベットメディアは僧侶の年齢を30歳としている。しかし、今のところ僧侶と友人は身元を明かさないようにしているらしく、氏名等詳細は分っていない。
追記:VOTによれば、僧侶はカム、カンゼ出身。南インドの僧院に所属していたが、現在はジャワルケルのキャンプに住んでいるとのこと。
ネパールは中国ではないが、当局は中国政府の要請に従いチベット人の政治活動を厳しく取り締まっており、警察は決して見方ではない。
カトマンドゥでは、今月2日にも、女性が一人灯油をかぶり、抗議の焼身を行おうとしたところを周りにいたチベット人たちが抑え込んだという事件が起こっている。
参照:10日付け Tibet Times チベット語版 http://p.tl/oRbd
10日付け AFP http://p.tl/QCoS
その他。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)