チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年11月7日
3日に抗議の焼身を行い死亡した尼僧パルデン・チュツォの葬儀に1万人
本土チベット人が伝えた新たな焼身の写真(フェイスブックより)
以下、ウーセルさんコメント:
「3日木曜、35歳のチベット人尼僧パルデン・チュツォが四川省カンゼ・チベット族自治州タウ(道孚)で焼身。炎に包まれながら“チベット独立”を高らかに叫ぶ姿が目撃された。倒れ込み、炎に呑み込まれながら、何と彼女は合掌していた!」
現地からの報告を受けたダラムサラ在住のタウ出身元政治犯ロプサン・ジンバによれば、昨日11月6日、タウ、ニンツォ僧院において尼僧パルデン・チュツォの葬儀が行われ、その際、1万人ほどのチベット人が集まったという。
ニンツォ僧院の中には約1000人の僧・尼が集まり、葬儀を取り仕切った。僧院周辺にはタウだけではなく周辺のカンゼ等の町からもチベット人が大勢集まり、尼僧の死を悼んだ。
当局は尼僧の死後、直ちに葬儀を行うよう命令したが、ニンツォ僧院はそれに従わず、地域の習慣通り死の3日後に葬儀を行った。
早朝5時半、ニンツォ僧院裏手にある火葬場で尼僧は荼毘に付された。チベット人たちは手にカタと灯明を持ち、暗い内から次々にその場を訪れた。
一方「通りは中国の保安要員で溢れている。ニンツォ僧院の近くにある映画館は軍の集結場となり2000人ほどの兵士がいる。町全体が包囲されている」と報告されている。
ロプサン・ジンバによれば、「葬儀の最中『チベット独立!』と声を上げるものたちがいたが、ニンツォ僧院僧院長がこれを止めさせた」という。
また、彼に対し町の人は「亡命側の人たちが自分たちの状況を広く世界に知らせてくれていることに感謝する。影響力のある大きな国の政府や国連が中国に圧力をかけ、状況を変えてくれる事を願っている。状況が変わらない限り、法王がチベットにお帰りにならない限り、我々はこれからも、いくら中国が軍隊を増やそうとも、弾圧しようとも、焼身自殺であろう、デモであろう、できる限りの抵抗活動を行う決意でいる。我々は決して諦めない」と話たという。
参照:6日付けRFAチベット語版 http://p.tl/n7ec
6日付け AP http://p.tl/Bp43
7日 VOTチベット語放送
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)