チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年11月4日
<速報>今朝、ニューデリー中国大使館前でチベット人が抗議の焼身 今年12人目/仙台で法王「焼身自殺は絶望の印」「政策の直しを」と
最初の写真はphayul、2枚目はTibet Times より。
Tibet Times チベット語版http://p.tl/-yKLによれば、今朝10時頃、ニューデリーの中国大使館前で元TYC(チベット青年会議)デリー支部執行部員シェラップ・ツェドル氏(25/26)が中国政府のチベット弾圧政策に対する抗議の焼身自殺を行った。
彼は1人で中国大使館前に向かい焼身した。現場にはインドの警官とチベット人数人がいた。彼らが駆けつけ火を消し、病院(Ram Manhor Lhoiya Hospital )に急送したという。現在の容態は不明。
彼は中国大使館に向かう前にFacebookの中に遺書を残している。その中には「今日を含め、この何年間私はすべての行動をチベットの大義とダライ・ラマ法王のために行って来た。過去に過ちがあったならば、これを許してもらいたい。再びチベットの家族の下に生まれ変わる事を祈ってもらいたい。再びチベット人として生まれ、チベットの大義のために働きたい。中国政府がチベットの人権を踏みにじっていることに対し抗議する。特にダライ・ラマ法王がチベットに帰還されることを祈願する」と書かれていたという。
デリーでチベット人が焼身自殺したのはこれで2人目。1998年のトゥプテン・ゴドゥップ氏以来である。
追記:TYC執行部チュキ女史によれば、火傷は足を中心に15~16%。命に別状はないであろうとのこと。
追記2:phayulhttp://p.tl/4KJ4によれば、彼は焼身の前にプレスリリースを発表し、インド政府に対し国際社会の先頭に立ち、チベット問題を平和的に解決するために中国に圧力をかけてほしいと要請していた。
「我々は死にかかっている。すべての自由を愛する人々は我々を支援する道徳的責任がある」
「世界の指導者と自由を愛する人々に対し、チベット問題を解決する手助けをしてほしいと懇願する」とも書かれていた。
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法王は仙台で記者の焼身自殺に対する質問に対し「中国のチベット政策見直しを求めながらもそれに対し深く絶望しているという印である」と答えられた(phayul)。
この部分、時事通信によれば:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2011110400853
「少数民族の扱い、見直しを」=チベット僧焼身自殺でダライ・ラマ
仙台市を訪れたチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は4日、記者会見し、チベットの僧侶らが中国の圧政に抗議し、焼身自殺する事件が相次いでいることを受けて、「人間は絶望した状況でしか焼身自殺などしない。中国政府は過去60年にわたる少数民族の扱いを見直すべきだ」と訴えた。
ダライ・ラマは「私に政治的立場はない」と断った上で、「力による政治の時代は終わった。温家宝首相は西洋的、民主的体制が必要だと述べており、それを実行に移すべき時が来ている」と呼び掛けた。(2011/11/04-19:25)
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)