チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年11月1日
ダライ・ラマ法王、金剛界灌頂を始められる
ダラムサラに居ながら法王日本訪問の記事を訳し、日本人に報告するというのも何だか変な話ではあるが、実際今回も日本へはダラムサラベースの4人のチベット人メディアが随行しているせいで、ニュースは沢山流されているのだ。
またチベットTVでは講演会を一日何回もまるまる放映している。
日本では残念ながら、講演や灌頂に出席された方以外には、新聞の短い記事ぐらいしか目に触れることができない。
以下の記事も短いが、写真はクギェル・イクツァン(法王庁)のテンジン・チュジョルでなかなかうまいし、記事もphayul のシェラップが雰囲気出して書いていた、ので紹介する。
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ダライ・ラマ法王、金剛界灌頂を始められる
phayul http://p.tl/4BJK
By Sherab Woeser
高野山11月1日:金剛界灌頂の準備と導入法話を行われる忙しい一日の初めに、早朝、法王は弘法大師の霊廟である「奥の院」に足を運ばれた。
805年に弘法大師により創始された真言密教の現管長である松永有慶に伴われ、弘法大師が永遠の瞑想に入っている場所と信じられている奥の院で法王は供養の経を唱えられた。
巨大な杉林によって隔離され、参道の左右には小さな祠や墓石が続く。奥の院は古代の自然の中に静かに佇んでいる。
樹齢数百年の杉林の中を歩きながら、法王は赤く塗られた仏像や刻印のある石柱の前で立ち止まり松永有慶管長に由来を問われ、経を上げられた。
何千という灯籠で満ちる灯籠堂の中で、法王は集まった小さな子弟グループと共に金剛界の経を唱えられた。
午後遅く、ダラムサラ・ナムギェル僧院の僧侶たちが、金剛界灌頂が行われる高野山大学講堂にダライ・ラマ法王をお迎えした。日本では歴史的に密教の灌頂はこの真言密教の宗派で行われて来た。
僧院長を初め8人のナムギェル僧院の僧侶は10日前に高野山に到着し、灌頂のためのマンダラを準備した。
前灌頂に入る前に、法王は宗教の意味と、21世紀におけるその重要性について短い説明をされた。
「宗教のもっとも基本的な目的は心に平安と幸福をもたらすことだ。外的物質世界の非常な発展を経験しながら、人々は金銭と物質的発展のみが幸せをもたらすのではないということを理解し始めた」とチベットの精神的指導者であるダライ・ラマ法王は1000人を越える聴衆に向かい語った。
「人間の意識に関する科学的研究により、否定的感情が身体的健康に悪い影響を与えることが理解されるようになった。恐怖、怒り、憎しみ、さらに過度の利己心は我々の免疫機能を低下させる」
灌頂を受ける心構えを説きながら、法王は利己心を離れ慈悲の心を育てることの「基本的必要性」について詳しく説かれた。
ダライ・ラマ法王は明日金剛界灌頂を授けられる。
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大阪講演については午後の部のみyoutubeにアップされている。http://www.youtube.com/watch?v=WrD1ycKBDlY&feature=share
また、午前中行われた般若心経講義については石濱先生がブログで要約をアップされている。
http://shirayuki.blog51.fc2.com/blog-entry-580.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)