チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年10月20日
<貴重映像>ンガバの今を記録したAFPレポーター/19日ンガバでは…/新たに僧侶逮捕
ンガバに潜入したAFPレポーターは写真や記事だけではなく、ちゃんと映像も記録し発表していた。
上のビデオは彼らがキルティ僧院付近を撮影したもの。大勢の武装警官隊が映し出され、緊張の状況が伝わる。
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19日のンガバ 新たな逮捕
昨日、チベット亡命政府の呼びかけに応じ、ンガバを初め内地チベットで中国の弾圧下に苦しむ人々への連帯を示す抗議行動や断食が世界中で行われた。
この呼びかけに答え、アムド、ンガバにおいてもチベット人たちが精一杯の平和的抗議行動を行った。
以下、ダラムサラ・キルティ僧院が報告する19日のンガバの様子をそのままお伝えする。また、報告の中には新たに逮捕された2人の僧侶その他の情報も含まれている。
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10月19日、街に住む多くのチベット人がチュバ(伝統的チベット服)を着て街の通りに集まりオマニペメフンという観音菩薩のマントラ(真言)を唱え、断食を行った。2回に渡り、この集団は連帯の抗議デモを行おうとした。しかし、2回とも武装警官隊や軍隊が銃等を使って群衆を蹴散らし、一斉に声を上げることはできなかった。一方、周辺の村々ではチベット人たちがチベット服を着て集まり、マントラを唱え、断食を行ったという。
17日に抗議の焼身自殺を行い死亡したテンジン・ワンモབསྟན་འཛིན་དབང་མོ་の遺体は当局の命令により、その日の夜埋葬された。現在までのところ、中国政府は公式には、この焼身自殺について何も報道していない。
数日前、ンガバ県のすべての町村で当局による集会が開かれ、そこで、僧侶を呼んで反政府活動により死亡した者に対する供養の祈りを行ってはならないと言い渡された。地域の指導者と遺族はこの命令に責任を持つものとされた。この集会には村の指導者と家族から一人の代表者がすべて出席させられた。
17日の夜、ンガバ県チャ郷ナクツァンマ村シリク家རྔ་པ་རྫོང་གཅའ་ཞང་ནག་ཚང་མའི་སི་རིག་ཚང་のキルティ僧院僧侶プンツォ(ཕུན་ཚོགས་28)が僧院の僧房で逮捕された。その際、警官は彼に激しい暴行を加え、部屋も完全に捜査された。彼が今どこにいるかは不明。
15日には同じくキルティ僧院僧侶であるジグメ・チュペルའཇིགས་མེད་ཆོས་འཕེལ་、チュジェマ郷ソルマ村ཆོས་རྗེ་མ་ཞང་སོ་རུ་མ་出身、が僧房で逮捕されたというが、詳細不明、行方不明。この2人の逮捕理由も不明である。その他、15日にノルブ・ダンドゥルནོར་བུ་དགྲ་འདུལ་が焼身自殺した後4、5人の一般人が逮捕されたという報告があるが、氏名その他詳細は不明。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)