チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年10月18日
キルティ・リンポチェの呼び掛け
キルティ・リンポチェ(ダラムサラ・キルティ僧院ホームページより)
最近の危機的状況に鑑み、全キルティ僧院の責任者である、在ダラムサラのキルティ・リンポチェは10月13日に世界に向けた<呼び掛け>を発表された。
これをウーセルさんがツイッター上で中国語に訳されたものを、@tibetweeterTYOさんが日本語に翻訳し同じくツイッター上にアップして下さった。
@tibetweeterTYOさん了承の下、以下にこれを掲載する。
原文:VOT “格德仁波切强烈要求中共缓和阿坝紧张局势”【西藏之声10月13日报导】
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<キルティ・リンポチェの呼び掛け>
当僧院僧俗は中共政府により7ヶ月間僧院に監禁され、残酷な尋問と騒擾に遭い続けている。政府と地方官員に対し誤ったチベット政策の見直しと平和的方法による情勢緩解を求める。
3月16日のロプサン・プンツォク焼身自殺の後、中共政府はキルティ僧院の僧俗を55に分け、600名余の工作人員を派遣し日夜輪番で尋問・騒擾行為を行い僧俗を滅多打ちにし、(当局により派遣された工作人員が)僧房の窓や玄関を破壊し僧俗の財物を偸盗。この種の管制措置が依然としてチベット域内で実施されている。
8月15日にはタウ・ニャツォ寺の僧ツェワン・ノルブが、9月26日にはキルティ寺の僧でロプサン・プンツォクの弟ロプサン・ケルサンとロプサン・クンチョクが自らに火を放ち、10月7日にはンガバのチベット人カヤンとチュペルが焼身自殺を遂げてしまった。
私たちチベット人は(全ての命を重んじ)自らの命も大切にするが、中共の高圧的統治に抗議するにはこの様な方法しか残されていない。一部の地方官員はチベットを思いのままに扱い、自らが法であるかの如く振る舞うが、この様な状況が中国の対外イメージにもたらす重大な影響には気付いていない。
中国政府の政策や工作員の行いを見るに、所謂調和社会の実現は不可能なばかりか民族間矛盾、衝突、分裂は増すばかり。政府はゆめゆめ石もて自らの足を打つ如き真似はされぬよう。
中共政府は国際社会の勧告をも省みずキルティ寺とンガバ地区への軍事管制を激化させており、現地の僧俗にとっては昼夜を分かたぬ恐怖の生活が続いている。
国際社会並びに平和と正義を心から愛する皆様に、全ての手段を講じて中国政府に圧力を掛け、チベット・中国間の問題に関わる交渉を後押しして下さるようお願いする次第です。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)