チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年10月18日
ついに尼僧も焼身自殺 その場で死亡 今年9人目
写真はンガバ、マミー尼僧院(Tibet Timesより)
以下、17日付けTibet Timesチベット語版 http://p.tl/8REZ より。
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今日(17日)現地時間午後1時過ぎ、ンガバ・ゾン(県)マミー尼僧院མ་མའི་བཙུན་དགོན་の尼僧テンジン・ワンモབསྟན་འཛིན་དབང་མོ་が尼僧院近くの橋のたもとで、中国政府に抗議の焼身自殺を行い、その場で死亡した。
ンガバ・ゾン、チャコルマ、ニツェ家རྔ་པ་རྫོང་བྱ་སྐོར་མའི་ཉི་ཚེ་ཚང་のテンジン・ワンモ(20歳前後)はンガバ市内から3キロほど離れたところにある尼僧院近くの三叉路に続く橋のたもとにおいて「ダライ・ラマ法王をチベットにお招きすべきだ!チベットには宗教の自由が必要だ!」と叫びを上げた後、自らの身体に火を放った。
現地からの報告によれば、彼女は火に包まれながらも、7、8分スローガンを叫びながら歩き続け、その場で息絶えたという。その際、現場には警官等も駆けつけることなく、遺体はマミー尼僧院の尼僧たちにより尼僧院に運び込まれた。その後、当局は遺体を引き渡すよう要求したが、尼僧たちはそれに従わなかった。当局は、もしも、遺体を引き渡さない場合も夜の間に地中に埋葬しろと命令した。
この事件が起きた後、軍隊と武装警官が大勢動員され、マミー尼僧院と付近の町村を封鎖した。
ンガバ市内の北西約3キロに位置するマミー尼僧院の正式名称は「マミー尼僧院デチェン・チュコル・リン༼ མ་མའི་བཙུན་དགོན་བདེ་ཆེན་ཆོས་འཁོར་གླིང ༽」。約350人の尼僧が所属するンガバで最大のゲルク派の尼僧院である。
その他、15日に焼身自殺したノルブ・ダンドゥルはンガバから他のどこかに移送されたという情報が入ったが、現在のところどこに移送されたのか、どのような容態なのかは不明であるという。
17日には再び、この焼身自殺を悲しみ、連帯を示すためにンガバのチベット人商店と飲食店はすべて戸を閉ざした。
以上の情報はダラムサラ・キルティ僧院の僧ロサン・イェシェと僧カニャック・ツェリンの報告による。
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追記(2012年2月3日):テンジン・ワンモの生前の写真が発表された。
討論を行ってるところと思われる。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)