チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年10月14日
「彼らの死を無駄にしてはならない!」中国への抗議と世界に支援を訴える平和行進
今日、TYC(チベット青年会議)主催により、中国政府への抗議、及び世界にチベットの窮状を訴えるため、朝10時過ぎ、上ダラムサラのツクラカン「勇者記念塔」前から下ダラムサラ・カチャリまで約5キロの平和行進が行われた。
行進にはキルティ僧院を始めダラムサラの各僧院・尼僧院の僧侶・尼僧、一般人、外人等数百人が参加。日本人も約10名ほど参加していた。
行進にはチベット国旗を始め、最近チベットで焼身自殺した人たちの写真や「TIBET BURNING」と書かれた横断幕等が掲げられた。
行進の後、参加者は下ダラムサラ・カチャリの広場に集まりまずチベットのために犠牲となった人々への黙祷を捧げ、その後、主催者であるTYCの副議長ドゥンドゥップ・ラダル等がスピーチを行った。
副議長は最初に「7人がチベット自由のために自らを灯明と化したことを決して無駄にしてはならない」と述べ、「この犠牲をチベットの闘いの強力な力とし、中国の力に対抗し、世界からの強い支援を必ず得なければならない」と続けた。
さらに「彼らが自らの身を持って灯明供養とした時期はダライ・ラマ法王が政治から引退された時期と前後する。このことは、チベットの勇気ある闘いが法王の存在いかんに関わらず、チベットが完全独立を果たすまで若い世代へと次々に引き継がれて行くことを象徴している」と述べた。
また「8日にカインが、さらに11日にチュペルが死亡した原因は焼身の火傷だけでなく、その場で武装警官等から激しい暴行を受けたこと、さらに病院で適切な治療が施されなかったからであると考える」と述べ、「胡錦濤が出席するG20首脳会議に向かい、各国が中国に対し、少なくとも焼身自殺後病院に収容されている、他の愛国者3人が適切な治療を受けられるために、家族の手に渡されることを要求するよう、働き掛ける必要がある」とG20を目先の目標としてロビー活動を活発化させると語った。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)