チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年10月12日
中国「焼身自殺は暴力テロ」と/両親は病院で遺灰を渡されただけ
中国は火曜日、「チベット人僧侶の焼身自殺を批判しない」といってダライ・ラマ法王を非難した。これに対しチベット亡命政府は「北京の人権侵害が抗議の原因だ」と直ちに反撃した。
北京は今年に入り7人の僧侶或は元僧侶が焼身自殺した事に対し、ダライ・ラマが批判しないのは仏教の教えに反するともいう。
北京共同発産経ニュースhttp://p.tl/oCjMによれば、中国外務省の劉為民報道局参事官は11日の定例記者会見で「生命を犠牲にして分裂主義の目的を果たそうとする、形を変えた暴力テロだ」と非難した、という。
同じ記者会見からの記事と思われるAPの記事http://p.tl/9Uw1には「テロ」という言葉は出て来ないが、劉為民の発言として「ダライ一味」が「公に事件を美化し、デマを流し、もっと多くの者たちが彼ら(焼身自殺した者たち)に続くよう煽っている」と述べ、さらに「焼身自殺はチベットの中国支配を暴力的に転覆させようとする計画の一つだ」
「これは人間的良心と道徳に反するばかりでなく、仏教教義にも反するものである」とダライ・ラマを強く非難した、、、そうだ。
人の家に押し入り、拷問、搾取を繰り返し、家の子供たちが抗議の焼身自殺をしたら、家長に対し「お前ら仏教徒のくせになんで自殺する。お前煽ってるな。泣くな!泣いたらもっと拷問だ」と言ってるに等しい。気違いとしか言いようがない。悪党、テロリストの見本。
全キルティ僧院の責任者であるキルティ・リンポチェはICTからコメントを求められhttp://p.tl/LHPfンガバ・キルティ僧院は「実質的に監獄と化し」、ンガバの状況は「絶望的」であると述べた。
「中国政府は恣意的逮捕を繰り返し、偽りの証拠や嫌疑により長期刑を言い渡す。何ヶ月にも渡りキルティ僧院は監獄と化したままである」「僧侶たちは昼も夜も監視され自由を取り上げられた」
「僧院の教育プログラムは機能を停止させられた。チベットの宗教と文化はこのような想像を絶する弾圧を受けており、人々はもう生きているより死んだ方がましだと思えるほどの絶望感に苛まれる状況なのだ」と語った。
両親には遺灰が渡されただけ
7日に焼身自殺した元僧侶カイン(18)は8日に、チュペル(19)は11日に、共にバルカムの病院で死亡した。
チュペルの遺体もカイン同様、家族には引き渡されず、その日の内に火葬され、家族には遺灰だけが渡された。ンガバの人たちはこのような当局のやり方に驚き、怒りを露にしているという。
「息子がまだ(病院で)生きている時、当局は両親が彼(チュペル)に会う事を許さなかった」
「2、3日待たされた挙げ句にンガバ県当局は火曜日、突然両親にその日に死んだ息子の遺灰を渡したのだ」と現地の住民は話す。
チュペルと一緒に焼身自殺したカインは次の日に死亡したが、同じく家族は遺体を見る事も許されず、ただ遺灰が渡されただけだった。
悲しめば逮捕
「当局はチュペルの家族の家に警官を送り、住民には弔問に行かないよう命令している」
「キルティ僧院の僧侶たちに対しても、当局は追悼の儀式や祈りを上げることを禁止した。しかし、僧侶たちは警告を無視し、僧院の近くで特別の追悼会を行った」と住民が報告する。
ダラムサラ・キルティ僧院のカヤック・ツェリンによれば、昨夜、満月の夜。当局の「悲しいだり、哀悼の意を示す者は逮捕する」との脅しにも関わらず、多くのチベット人たちがカインとチュペルの冥福を祈り、今も病院で苦しむ者たちへの連帯を示すために僧院や寺院を訪れ、灯明を捧げ、五体投地やコルラを繰り返していたという。
参照:11日付けRFA英語版 http://p.tl/1TmE
11日付け Tibet Times チベット語版 http://p.tl/XTPE
12日付け phayul http://p.tl/tVS4
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)